[I-P18-06] 小児に対する着用型除細動器の有用性
Keywords:WCD, 突然死, 心室細動
【背景】着用型除細動器 (WCD)は、心室性不整脈による突然死のリスクが高い、もしくは植込み型除細動器(ICD)の適応が未確定、また早急な植込みが困難な場合に適応となる。成人への導入は増加しているが小児の使用報告は少ない。小児心肺停止蘇生後の2例にWCDを導入したので報告する。【症例1】生来健康な9歳男児。マラソン中に心室細動 (VF)を発症し心肺蘇生された。自動体外式除細動器(AED)はショック適応外だったが、近医搬送後、心室細動となり電気的除細動とアドレナリン静注で自己心拍再開した。当科でAch負荷試験により冠攣縮性狭心症と診断しCa拮抗薬を開始したが再度VFを発症した。その後冠動脈CTで左冠動脈起始異常が判明し、冠動脈修復術、植込み型ループ式心電計植込み術が行われ、WCDを導入した。胸囲は最小サイズの基準を下回ったが、ベルトを縫い縮めて着用できた。 1日当たりのWCD平均着用時間は21.6時間、ショック作動はなかった。【症例2】 重症大動脈弁狭窄症として経過観察中の12歳男児。サッカー中に胸痛を訴え失神した。AED波形はVFでありショック2回で蘇生された。当科緊急搬送となり精査を行った。心肺停止が不整脈原性か、大動脈弁狭窄による左室心筋肥大と相対的虚血によるものか不明だった。大動脈弁置換術が行われ、ICD植込み適応評価のためWCDを導入した。1日当たりのWCD平均着用時間は23.3時間、ショック作動はなかった。【考察】ガイドライン上、VF既往があるとclass IのICD適応となる。今回の2例は先天的構造異常に伴った二次性のVFであり、手術修復により突然死リスクの軽減が期待でき、また小児例であることからもICD導入が躊躇された。WCDの保険償還は3ヶ月間と限定されており、短期間の観察しかできない。しかし、小児の着用コンプラインスは良好で、VFの早期再発時には突然死の回避が可能である。また、胸囲が基準を満たさなくてもベルトの改造で装着は可能である。