[I-P19-05] 肺動脈弁冠尖での通電が有効であった右室流出路起源心室頻拍の11歳女児例
Keywords:カテーテルアブレーション, 右室流出路起源, 肺動脈冠尖
【背景】右室流出路起源心室頻拍はアブレーション治療で根治が可能である。近年成人では肺動脈冠尖からのアブレーションでほとんどの症例が根治可能との報告がある。【症例】症例11歳女児。9歳時に労作時の呼吸困難を訴え受診。心室頻拍と心機能低下から心筋炎、心筋症が疑われ、紹介医で集中治療が行われた。β遮断薬による頻拍停止に伴って心機能も改善したため心室頻拍(120bpm、左脚ブロック型、下方軸)および頻拍誘発性心筋症と診断された。10歳および11歳時にβ遮断薬の怠薬に伴い頻拍が再発。薬物治療によるコントロールが困難と判断し、カテーテルアブレーションとなった。初回、心臓電気生理学的検査(EPS)では心室頻拍と同形の心室性期外収縮(PVC)が散発するのみであった。比較的良好なpace mappingが得られた右室流出路肺動脈弁直下心室中隔で通電を行いPVCは消失し、治療を終了した。しかし、持続する心室頻拍(150bpm、左脚ブロック型、下方軸、波形が若干変化して持続する)で再発し心機能の低下を呈したため、再度アブレーションを行った。2回目のEPSでは持続する心室頻拍が誘発された。activation mappingで肺動脈弁直下ではQRS開始点より30ms先行する電位での焼灼で頻拍は停止したが、若干QRS波形が変化しながら再発を繰り返した。そのため肺動脈内のマッピングを行うと肺動脈弁直上posterior attachment側の肺動脈冠尖で洞調律時にはQRSの後方にfragmented potentialが記録され、心室頻拍時にfragmented potential は時相が逆転し、QRS開始点から58ms先行していた。最終的に同部位で焼灼し、以後心室頻拍・期外収縮は誘発不能となった。術後再発なく、心機能低下も認めていない。【結語】小児においても肺動脈起源心室頻拍では、肺動脈冠尖での早期性の高いfragmented potentialを指標にしたアブレーションで根治可能である。