第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション20(I-P20)
電気生理学・不整脈 3

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:鈴木 嗣敏(大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

[I-P20-01] 開胸下oval patch lead によるICD植込み術を施行した2乳児例

吉沢 雅史1, 喜瀬 広亮1, 須長 佑人1, 河野 洋介1, 本田 義博2, 加賀 重亜喜2, 星合 美奈子3, 鈴木 章司2, 犬飼 岳史1, 戸田 孝子1 (1.山梨大学 小児科, 2.山梨大学 第2外科, 3.山梨県立中央病院 小児循環器病センター)

キーワード:ICD, 乳児, oval patch lead

【はじめに】
致死性不整脈による心臓突然死のリスクが高い場合、ICD植込みが適応となるが、小児では体格による埋め込み方法や、その後の成長によるリード不全、収縮性心膜炎等が問題となる。しかし、現在まで定まったICDの植込み方法はない。今回我々は、1歳未満で致死性不整脈を発症した乳児2例に対し、開胸下でoval patch型の除細動リードを心外膜に留置する方法でICD埋め込みを行った。
【方法】
胸骨正中切開下を置き、肺静脈の圧迫に注意しながら左胸腔内に留置を行った。前面は心外膜に縫着する形で、それ以外は左肺と心外膜の間に挟み込む形にoval patch 型の除細動リードを留置した。右室下面にステロイドコーティングされたペーシングリードを留置し、右腹横筋と内腹斜筋の間に広げたポケットにICDジェネレーターを留置した。
【症例1】
生後2か月時にVfとなり蘇生。QT延長症候群と診断。生後4か月, 5.8kgで上記の方法でICD植込みを行った。15年後、β遮断薬を調整中にVfが発生しICDが作動した。現在16歳。これまで収縮性心膜炎の発症はなく、定期検診でリード不全やICDの不適切作動は認めていない。
【症例2】
生後10か月時にVfとなり蘇生。1歳時, 9.5Kgで上記の方法で開胸下にICD植込みを行った。アミオダロンを開始し退院となったが、術後3週間でICDが作動した。発症時の心電図波形からShort coupled variant of torsade de pointsと診断し、ベラパミルを開始後VT/Vfは消失した。現在2歳。これまで収縮性心膜炎の発症はなく、定期検診でリード不全やICDの不適切作動は認めていない。
【まとめ】
乳児期に致死性不整脈を認めた2例に対して、oval patch 型の除細動リードを左胸腔内に留置する方法でICDを植込み、収縮性心膜炎やリード不全を生じることなく、遠隔においても適切な作動が可能であった。体格の小さい小児においても、本法は安全で効果的なICDの植込み方法であると考えられる。