[I-P20-03] 胎児水腫・完全房室ブロックを合併した早産・低出生体重児に対し、出生直後に体外式ぺーシングを行い、恒久的ペースメーカー留置へ至った1例
キーワード:完全房室ブロック, 胎児水腫, ペースメーカー
【背景】早産児において、恒久的ペースメーカー留置はジェネレーターによる潰瘍や感染などの合併症リスクが高まる。今回、完全房室ブロックを合併した早産・低出生体重児に対し、体外式ペーシングを先行させ、良好な経過をたどった1例を経験した。【症例】在胎21週時に胎児徐脈(50bpm)のため、当院を紹介受診した。母体抗SS-A抗体陽性であった。その後も、胎児徐脈の進行(40bpm)、胎児水腫の進行を認め、胎児死亡のリスクが懸念され、在胎29週2日に予定帝王切開で出生した。出生体重1556g、Apgar score 4(1分)/5(5分)。出生後、ピンクアップ不良で、気管挿管、サーファクタント投与を行うも改善せず、用手換気のまま、剣状下アプローチで心室へ2組の一時的ペーシングワイヤー留置術を行った。VVI 100bpm(閾値0.8V)でペーシングを開始し、胸腹水のドレナージを行い、呼吸状態は改善した。その後、VVI 120で管理していた。徐々に閾値の上昇を認めるようになり、日齢27にペーシング不全となったため、左前胸部肋間開胸アプローチで、心尖部へ2組の一時的ペーシングワイヤー留置術を行った。体重2kgをこえた日齢55に恒久的ペースメーカー留置術を行い、退院した。その後も心筋症のような所見は認めていない。なお、児の抗SS-A抗体は生直後は374U/mlと高値であったが、減少傾向となり、生後5か月で正常範囲内となった。【考察】 早産・低出生体重児への体外式ペーシングには、アプローチ、リード縫着、ペーシング不全への対策など工夫を要する。体外式ペーシングを先行させる治療戦略は過去の報告からも妥当性の高いものと考えられる。