[I-P21-01] 抗血栓療法を行っている成人先天性心疾患患者の服薬アドヒアランス
キーワード:抗血栓療法, アドヒアランス, 成人先天性心疾患
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者は、患者自身の病態理解が乏しいことが多いため、服薬アドヒアランスを維持することが難しい傾向にある。抗血栓療法を必要とする疾患では、継続の重要性、副作用の重大さなどの点からとくに良好なアドヒアランスが必要とされるが、その実際は明らかではない。【目的】当院に通院中のACHD患者における抗血栓療法の服薬アドヒアランスの現状を確認し、向上のために必要な問題点を明らかにする。【方法】2017年7月~12月に当科外来を受診した内服治療中のACHD患者に、自己記入式質問票を用いて調査した。高校生以上を対象とし、発達障害を合併する患者は除外した。【結果】回答は40名(有効回答率96%)から得た。抗血栓療法あり(+群):なし(-群)=19名(48%):21名(52%)であり、抗血栓療法の内訳は、Warfarin 3名、Aspirin 8名、Warfarin+ Aspirin 8名であった。内服治療への不満は、+群で31%、-群で29%が訴えた。怠薬なしの患者は、+群:-群42%:23%であったが、+群でも週1回以上怠薬している患者が8名(42%)存在した。+群のうち、79%は薬効(抗血栓作用)を正答したが、気を付けるべき点として易出血性を回答したのは37%に過ぎなかった。副作用出現時はすぐに連絡をする患者は+群 21%:-群 11%で、多くは放置すると回答した。「受診時に今後の病態や注意点について説明を受けた」と認識している患者は+群:89%、-群:52%であったが、「自分では病態や注意点を知らない」と回答する患者が両群とも過半数を上回った。【考察】抗血栓療法薬の服薬アドヒアランスは、その他の薬剤に比べるとやや良好だが、決して十分ではなかった。これは、説明を聞く機会が比較的多いと考えられる抗血栓療法中の患者であっても、実際には病態・内服治療の意義についての理解が乏しいことが大きな要因と考えられる。今後は、患者個人の理解度にあわせた教育を行っていく必要がある。