第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション21(I-P21)
成人先天性心疾患 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)

[I-P21-03] 成人ファロー四徴術後患者のFIB-4値と右心機能

浜道 裕二, 堀 真一郎, 武井 陽, 小宮 枝里子, 額賀 俊介, 小林 匠, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:ファロー四徴, FIB-4, 右心機能

【背景】成人ファロー四徴術後(TOFpo)患者の右室流出路再建術を必要とする例で、右心機能低下による肝機能障害を起こしている場合がある。FIB-4値は成人の非アルコール性肝疾患における肝線維化の予測マーカーであるが、FIB-4値とTOFpo患者の右心機能低下との関係の報告はほとんどない。【目的】成人TOFpo患者の右心機能低下とFIB-4値に関連があるか調べる。【方法】対象は20才以上で2012年~2018年に心臓カテーテル検査が施行された87人。日常血液検査で得られる肝機能dataよりFIB-4 scoreを算出:FIB-4=年齢(yrs)x AST (IU/L) / {Plt (10/L) x √ALT(IU/L)}”。肝線維化を示唆するといわれるFIB-4≧1.30(FIB-4↑)に右心機能低下が関与するか、検討した。【結果】FIB-4↑群は対照群に比べて、下大静脈圧(IVCP、p=0.037)、右心房圧(RAP、p=0.021)は高かった。他の心機能因子は両群間で有意差を認めなかった。ロジスティックス単解析では、FIB-4高値がIVCP10mmHg以上の範囲で、2.5倍のオッズ比を持って多く分布していた(p=0.043)。同様にRAP10mmHg以上の範囲でFIB-4高値となるオッズ比は3.6倍(p=0.0080)であった。次にこれらIVCP/RAP10 mmHg以上に右心室負荷が関与しているか調べた。IVCP/RAP 10mmHg以上を予測するROC曲線を各右心室機能因子で描いたところ、有意なROC面積は右室拡張末期圧(ROC面積0.915)、収縮期圧の右室/左室比(同0.673)で描くことができた。しかし、右室拡張末期容積の上昇、右室駆出率の低下は関与しなかった。【まとめ】成人の肝の繊維化を予測するFIB-4高値はTOFpo患者のIVCP/RAP上昇と関係があった。更にこれらの圧上昇は、右室拡張末期圧の上昇及び右室/左室の収縮期圧比の上昇と関係があり、FIB-4高値はTOFpo患者の右心系圧上昇による肝鬱血と関係があると推測される。しかし今回は、IB-4高値と右室容積増大、右室駆出率低下との関係は不明であった。