[I-P22-01] 良好な遠隔期Fontan循環を目指した手術術式-心房機能温存の観点から見たEC-TCPCの意義-
Keywords:Fontan, 心房機能, EC-TCPC
【背景】1971年にFontan手術が報告されてから40年以上が経過し、APCからTCPCへと術式が改良されてきた。その中でEC-TCPCは心房切開や縫合が少なく、洞結節機能が温存可能であるなどの利点が指摘されており、標準術式となっている。一方で様々な因子がFontan循環に影響を及ぼし、遠隔期にFailed Fontan(FF)につながるとされているが、心房機能の影響については不明である。そこで当院におけるFontan術後20年以上経過した症例のFontan循環と心房機能の関係について検討した。【対象・方法】当院において、初回Fontan手術から20年以上経過し、心臓CTで心房機能が解析可能であった12例を対象とした。疾患の内訳は、TA3例、DILV2例、unbalanced CAVC2例、その他5例であった。初回Fontan術式は、APC5例、LT-TCPC4例、EC-TCPC2例、その他1例で、初回Fontan施行時年齢は中央値5(5-37)歳であった。心房機能は、体心室に連続する心房を同定し、心臓CTで心房最大容量 (LAmax)、心房最小容量 (LAmin)、心房収縮前容量(LApre-A)を測定し、atrial kick function (LApre-A- LAmin)/LApre-A×100(%)を評価項目として用いた。FFは、胸腹水やPLEの既往と心臓関連死亡の症例と定義した。CIと遠隔期カテーテル検査(CVP、EDP、EF、PVR、PAI)や心房機能の関係、FFの症例と遠隔期カテーテル検査や心房機能の関係について検討した。【結果】術後にFFとなった症例は3例であり、初回Fontan術式はAPC2例、LT-TCPCが1例であった。術後遠隔期のCIとPVR(R2=0.26, P<0.05)、atrial kick function(R2=0.46, P<0.05)に相関関係を認めた。また、FFとFFでない群の比較において、FFのatrial kick functionが有意に低値であった(7.8±2.9 vs 25.2±8.5 %, P<0.05)。【まとめ】EC-TCPCは心房機能温存の観点から有用な術式であった。心房機能はFontan術後遠隔期のCIやFFに影響を及ぼす可能性があるため心房機能を温存する術後管理が重要と考えられた。