[I-P22-03] 主要体肺側副動脈に対するunifocalization術後の成人期の経過と肺高血圧に対する治療戦略
Keywords:成人先天性心疾患, 予後, 肺高血圧
背景:主要体肺側副動脈(MAPCA)に対するunifocalization(UF)術の成人期の経過と、肺高血圧の治療について不明な点が多い。方法:当院に通院歴のある16歳以上のUF術後の15例(女性 7例)を対象とした。また、経過中に肺高血圧をきたし肺血管拡張薬を使用した3例の経過についても検討した。結果:初診時の年齢の中央値は19歳で、全例が心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖(PAVSD)であった。9.6年の観察期間で2例に周術期死亡を認め、1例はRastelli型術後、1例はRe-Rastelli型術後であった。心不全は4例に認め、最終のUF術より23.9年で発症していた。2例で心室性不整脈を認めた。最終のUF術後より19.7年での左肺動脈圧 32±12 / 11±6 / 20±8 mmHg、右肺動脈圧 32±7 / 11±6 / 19±6 mmHg、心拍出量 3.5±1.1 L/minであり、左室駆出率は64±8%、BNPは68±71 pg/mLであった。(症例1) 40歳、男性、PAVSD。15歳でRastelli型術と左右のUF術を施行された。40歳のconduit置換術の際の左/右平均肺動脈圧(MPAP)は45/44mmHgであり、マシテンタンとタダラフィルを開始された。4ヶ月後でも26/25mmHgと高値でセレキシパグを追加された。(症例2) 33歳、女性、PAVSD。10歳までに左右のUF術とRastelli型術を施行された。19歳の左右MPAPは31/36mmHgであり、ボセンタン、タダラフィル、ベラプロストが開始された。1.7年後の左右MPAPは28/21mmHgと低下していた。(症例3) 35歳、女性、PAVSD。20歳までにUF術と2回のRastelli型術を施行された。34歳で心肺蘇生後に右室流出路再建術を施行され、その際の左右収縮期肺動脈圧は50mmHgであった。すでに導入されていたボセンタン、シルデナフィル、ベラプロストのうち、ボセンタンをマシテンタンに変更し、2ヶ月後の左右収縮期肺動脈圧は34/36mmHg、MPAPは20/19mmHgと改善していた。結語:MAPCAに対するUF術後は継続した診療を要し、併存する肺高血圧には肺血管拡張薬が有効である可能性がある。