第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション22(I-P22)
成人先天性心疾患 2

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:坂崎 尚徳(兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)

[I-P22-04] ファロー四徴症術後遠隔晩期に肺動脈弁置換術を行った5例の臨床像

永瀬 晴啓, 枡岡 歩, 細田 隆介, 岩崎 美佳, 保土田 健太郎, 鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター)

キーワード:TOF, PVR, 術後遠隔期成績

【背景】ファロー四徴症(TOF)術後遠隔期における肺動脈弁逆流は右心機能低下や不整脈発生などにより長期予後を規定する重要な因子である。遠隔早期に手術介入を行う事で、右心機能が回復することが多いが、遠隔晩期まで介入が遅れた症例の治療成績は明らかでない。【目的】TOF術後遠隔晩期における肺動脈弁置換術(PVR)の臨床像を明らかにする。【対象】2007年4月から2018年12月までに当院でTOF術後遠隔期にPVRを施行した11例を対象とした。心内修復術より30年以上経過した群(平均術後経過期間42.7年±7.4年[33-52年]:O群 5例)と30年未満の群(18.9年±1.9年[16.2-21.7年]:F群 6例)に分け比較検討した。両群のPVR後観察期間は4.7±4.3年、O群:1.1±1.3年、F群:7.9±3.5年であった(P<0.05)。【結果】O群で周術期に敗血症で1例を失った。F群では全例独歩退院した。PVR時平均年齢はO群:53.0±6.0歳、F群:27.2±11.7歳(P<0.005)、手術時間は、O群:621±87min、F群:395.7±65min(P<0.005)、ICU滞在日数はO群:54±61日、F群:2±1日とF群で有意に短かかった(P<0.05)。PVR後在院日数はO群:110±83日、F群:22±9日 (P<0.05)。また、術前後の心胸隔比(CTR)の変化率は、O群:67.8%から62.0%と有意な変化を認めなかったが、F群では58.0%から53.3%と有意にCTRの縮小を認めた(P<0.05)。QRS幅はO群:190msecから157msecと有意に改善した(P<0.05)が、F群では168msecから159msecと有意差は認めなかった。【考察】術後30年以上と30年未満の群におけるPVR後の臨床成績を検討した。30年以上の群に1例死亡例を認めたが、30年未満の群では死亡例は認めず、術後経過・予後共に良好であった。右心機能低下例や右室拡大例では早期に手術介入すべきだが、至適時期に手術介入されていない症例のPVR後の臨床成績は芳しくない。従って術後遠隔晩期での肺動脈弁に対する手術介入は、術前のQOL等を考慮し、慎重な手術適応判断が望まれる。