第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション23(I-P23)
川崎病・冠動脈・血管 1

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)

[I-P23-01] 1歳未満で発症した川崎病に対する急性期治療

中田 利正 (青森県立中央病院 小児科)

Keywords:Kawasaki disease, infants, treatment

【背景】1歳未満の川崎病(KD)は巨大瘤を含めた冠動脈病変(CAL)合併のハイリスク因子とされているが、CAL抑制に有効な急性期治療は確立されていない。最近、初回免疫グロブリン療法(IVIG) 終了後にアスピリンを開始する治療(DUA)がCAL抑制に有効であったことが報告された。【目的】1歳未満に発症した乳児に対するDUAの効果を明らかにすること。【方法】2004年1月~2018年5月にDUAによるIVIG(2g/kg)が施行された連続したKD患児205例を対象として、後方視的に検討した。アスピリンの代用薬としてフルルビプロフェンが用いられた症例も含めた。発症年齢が1歳未満の43例を乳児群、1歳以上の162例を非乳児群として、比較検討した。CAL診断はJapanese criteriaを用いた。【結果】乳児群vs.非乳児群において主要症状の数(中央値:四分位範囲)は乳児群で有意に低かった(5: 5-5 vs.6: 5-6, P < 0.001)。性 (男児比率 61% vs. 49%, P = 0.172)、不全型の頻度(21% vs. 11%, P = 0.091)、久留米スコアー (1:1-2 vs. 2:1-3, P = 0.196)、アスピリン/フルルビプロフェンの使用頻度 (26/17 vs. 94/68, P = 0.920)、IVIG開始病日(5: 5-6 vs. 5: 5-6, P = 0.452)に有意差は認めなかった。乳児群のIVIG開始病日は中央値5(最小5―最大8)であった。初回IVIG不応例の頻度は乳児群で有意に低く(9% vs. 27%, P = 0.017)、解熱病日も有意に早かった(6: 6-7 vs. 7: 6-8, P < 0.001)。追加治療頻度 (9% vs. 14%, P = 0.454)、CAL頻度(0% vs. 3%, P = 0.368) に有意差はなかった。乳児群では、ステロイド治療を受けた症例も3mm以上のCAL合併例もなかった。【結論】CALハイリスクとされる1歳未満発症乳児例でも、適切な治療により、転帰は良好となる可能性が示唆された。DUAによるIVIG(2g/kg)は、KD乳児例に対する3mm以上のCAL予防に有用であった。