[I-P24-05] 川崎病冠動脈障害例における心外膜下脂肪組織の臨床的意義
Keywords:川崎病, 冠動脈病変, 心外膜下脂肪組織
【背景】心臓に直接密着する内臓脂肪である心外膜下脂肪組織(EAT)は炎症やケミカルメディエーターの放出を通して冠動脈病変形成に直接関与していると報告されているが、川崎病冠動脈障害(CALs)例での検討はない。【目的】CALsとEATの関係を明らかにする。【方法】冠リスクファクター及び冠イベントのないCALs合併13例(年齢平均21.7歳)を対象に後方視的検討を行った。EATの計測はMDCTで-200~-50 Hounsfield units(HU)に基づいて肺動脈分岐部部分から心尖部にかけてのEATを描出し、解析用Zioworkstation 1(ZIO NG1, Amin Co,Ltd)に取り込みEAT容積(ml)と容積指数(ml/BSA)を計測した。また前室間溝(LAD近位部)、前房室間溝(RCA近位部)、後房室間溝(Cx中位部)及び大動脈前面のEATのCT値を計測した。これらのデータと冠動脈石灰化スコア(ACS)、エコーで計測した現在までの冠動脈最大瘤径(max Zスコア)および血清脂質との関係を検討した。【結果】13例のmax Z-scoreは8.2±4.9、BMIは21.0±1.3 (kg/m2)であった。EATは右室前面、前室間溝と前後房室間溝にかけ分布しており、EAT容積及び容積指数はそれぞれ18.7±6.3ml、10.7±3.3ml/m2であった。EAT容積指数はBMI、ACS、脂質、アディポサイトカインとの間に有意な相関はなく、年齢(r=0.68)、RCA前面のEATCT値 (r= -0.56)、max Zスコア (r=0.41)との間に相関を認めた。EATのCT値は部位に差はなく、平均CT値は-91.4±11.6 (HU)であった。平均CT値はmax Zスコア(r=-0.82)、LAD前面のEATCT値(r= 0.74)との間に相関を認めた。重回帰分析では平均CT値がmaxZスコアの最も強い決定因子であった(β= -0.66, p<0.01)。【結論】少数例の検討ながら、EATは冠動脈病変形成に関与している可能性が示唆された。