第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション26(I-P26)
外科治療 1

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:小沼 武司(三重大学附属病院 心臓血管外科)

[I-P26-04] 肺静脈clipによるASD手術時の空気混入予防の工夫

櫻井 一1, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 杉浦 純也1, 大沢 拓哉1, 和田 侑星1, 大橋 直樹1,2, 西川 浩2, 吉田 修一朗2, 加藤 温子2, 吉井 公浩2 (1.中京病院 心臓血管外科, 2.中京病院 小児循環器科)

Keywords:clip, pulmonary vein, deairing

【背景】開心術では心内空気抜きのため右上PVからのLV ventやAo ventを挿入し空気塞栓を予防する手技が一般的である.一方,ASD閉鎖術では心停止時間が短いことから完全にLA内血液を吸引しないようにしLV ventを挿入しないことも多い.しかし時に空気がLA内に入ると大動脈遮断(AOC)解除後のTEEで完全に空気が消失するのに時間を要する例がある.【目的】当院では2017年7月からASD閉鎖術の際,空気が迷入しやすい右上PVをAOC前にclipで閉鎖しAOC解除後の空気抜き時間の短縮を図った.その前後での空気抜き時間を検討した.【方法】13年から19年までの単純ASD閉鎖術を行った103例を,16年7月までのclip未使用68例(I群),それ以後のclip使用35例(II群)に分け,AOC解除から体外循環離脱までの時間(Deair-T)を空気抜きに要した時間の指標として比較した.また成人ASD例につきCABG例を対象としLA,PVの形態的特徴を比較した.【結果】I,II群で,年齢11.7±12.7,6.4±3.3歳,体重27.6±14.9,20.4±9.1 kg,手術時間232±44,248±41分,体外循環時間66±20,66±15分,AOC時間23±13,21±9分で,年齢と体重がII群で有意(p<0.05)に小さかった.各Deair-Tは22.0±6.8,19.2±5.6分でII群で有意に短かった.CT上ASD例はLA,PVとも拡大し,右上PVは他3本と違い仰臥位で上方に向かって開口し空気が迷入しやすい形態だった. 【考察と結語】左右疾患ではPVが太くなっている例が多くLA内の空気は右上PVに迷入することが多い.しかしII群ではこれを予防でき空気抜き時間の短縮が可能だった.一方II群では体格の小さな例が多く開閉胸手技や止血などをより慎重に行う必要があり手術時間としては有意差がなくなったと思われた.右上PV clipによる空気混入予防手技は,PV内への空気混入を予防し空気抜き時間を有意に短縮できた.