第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション27(I-P27)
外科治療 2

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:長嶋 光樹(和歌山県立医科大学 外科学第一講座)

[I-P27-01] 小児期にFontan非適応と判断されるも、褐色細胞腫摘出術後に再評価し成人期に両側両方向性Glenn + TAPVC修復術を施行した一例

椛沢 政司1,3, 松尾 浩三1,3, 立野 滋2,3, 岡嶋 良知2,3, 川副 泰隆2,3, 武智 史恵2,3, 池内 博紀1,3, 伊藤 貴弘1,3, 村松 隆宏5, 杉森 邦夫4, 森島 宏子2,3 (1.千葉県循環器病センター 心臓血管外科, 2.千葉県循環器病センター 小児科, 3.千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部, 4.千葉県循環器病センター 麻酔科, 5.千葉大学大学院医学研究院 麻酔科)

Keywords:Glenn, TAPVC, 褐色細胞腫

症例は26歳女性。通常出生後、2ヶ月時にチアノーゼを指摘され近医受診。1歳時に脳梗塞を発症し、以降左半身不全麻痺が残存。3歳時に心臓カテーテル検査を施行し、{S,D,L} asplenia, cAVSD(Rastelli C), TAPVC(Ib+III), DOLV, small LV, PS, bilateral SVC, RAAと診断されるも、当時PHにてFontan indicationなしと診断されていた(詳細不明)。19歳時に腹痛を契機に後腹膜腫瘍を指摘されて前医大学病院を受診。褐色細胞腫、深部静脈血栓症、多発血栓塞栓症(腎動脈、脳梗塞、右腸骨動脈閉塞)と診断され、下肢血行再建手術を施行するも血栓閉塞を繰り返すため、薬物治療を施行された状態で24歳時に当院紹介。SpO2 60%台の高度チアノーゼを認めたが、褐色細胞腫を摘出後に血行動態を評価することとした。25歳時に前医泌尿器科にて腫瘍摘出術を施行。小児科、集中治療科等も関わる慎重な周術期管理にて耐術し、術後当院で心臓カテーテル検査を施行したところ、Glenn手術の適応ありと診断。26歳時に当院にて両側両方向性Glenn手術+TAPVC repair(posterior approach)+前方AV結節cryoablation術を施行した。術後経過は非常に安定しており、SpO2は60%台から80%程度まで改善し、著明なADLの改善を認めた。【結語】複雑な病態が絡んでいる場合には、以前に手術適応なしと診断された症例の中にも、詳細な精査によって、または他疾患を治療することによって、手術適応ありと判断できる症例が存在する可能性がある。各々の症例ごとにチームで総合的に検討することが肝要である。また、治療にあたっては、成人先天性心疾患チームのみでは解決しきれない多くの科の関わりを要するものもあり、時には他院との連携を要することもある。治療の成功のためには、全ての医療者間での綿密な情報共有が不可欠である。