[I-P27-04] Modified Blalock-Taussig Shunt術後危険因子の検討
Keywords:mBTS, 弁逆流, 危険因子
【背景】Modified Blalock-Taussig Shunt(mBTS)は肺動脈狭窄または肺動脈閉鎖を伴う先天性心疾患への姑息術として最も重要な術式である。しかし術後に肺血流減少もしくは過多により血行動態が不安定となることがある。【目的】当院で施行したmBTS症例の術後危険因子(弁逆流の有無、シャントサイズなど)について後方視的に検討した。【方法】2007年8月から2019年1月にmBTSを施行した連続する症例のうち、順行性の肺動脈血流がある例とシャントラッピングを行った例を除く16症例(女/男;8/8症例)を対象とした。術後死亡症例はなかった。平均年齢は89.6(±146.3)日、平均体重は3.94(±0.81)kgであった。その他、心室数・性別・Heterotaxyの有無・シャントサイズ・シャントサイズ体重比・シャント吻合部肺動脈径、Mild以上の房室弁逆流、体心室側房室弁形態・術後BNP最大値、乳酸値、手術時間等の項目を検討した。【結果】16例中、肺体血流のアンバランスにより重篤な循環不全を2症例に認めた。1例は術後TR増悪による心不全増悪・ショックからECMO導入・三尖弁形成術を行い、もう1例は術後覚醒と同時にPH crisisからショックとなり緊急開胸しPDA re-canalizationを施行した。この重篤な循環不全の危険因子を統計的に検討したところ、有意であったのはmild以上の術前房室弁逆流(p=0.0088)であった。またシャントサイズやシャント体重比などは術後重篤な循環不全の有意な危険因子ではなかった。【考察】本研究ではmild以上の弁逆流が有意な危険因子であった。【結論】Mild以上の術前房室弁逆流を有する症例は術後シャントによる容量負荷の増加から急激な循環不全に陥ることがあり、そのサイズ選択・術後管理に注意を要することが示唆された。