[I-P27-06] 両側肺動脈絞扼術におけるLasso法の使用経験と術中経食道エコーを使用した絞扼基準の検討
キーワード:Lasso法, 両側肺動脈絞扼術, 経食道エコー
【背景・目的】重症先天性心疾患の新生児期体外循環使用を回避する目的で両側肺動脈絞扼術(bPAB)の適応は拡大しているが、bPABの絞扼基準は定まっておらず、各施設の経験に基づいて施行されているのが現状である。当施設では、より再現性のある絞扼調整のため2017年4月よりLasso法を導入し、経食道エコー(TEE)による術中評価を行っている。【対象】当施設で新生児期にLasso法によるbPABを施行した10例(HLHS/ HLHS variant 4例、IAA/CoA complex 3例、Truncus 3例)。【方法】Lasso法はGore Tex Suture CV-4、4Frアトムチューブ、ヘモクリップ(Mサイズ)を用いて、周径12mmからTEE評価の下、Lt.PA、Rt.PAの順にヘモクリップを追加し、絞扼調整を行った。術中TEEによりPAB部の内径・流速を計測し、動脈圧の上昇とSpO2、血液ガスデータを参考に、微調整を行った。術後経胸壁エコー(TTE)を施行し、PAB部の内径・流速の変化を評価した。【結果】bPAB施行時の体重は2990±477g、日齢8±5であり、術後院内死亡1例(不整脈)、re-banding 1例、カテーテルによる肺動脈拡張(術後113日目)は1例であった。次期手術到達症例は10例中7例(Norwood手術3例、Arch repair 2例、Tr valve repair2例)、他DKS+BCPS及びTr valve repair待機中が共に1例であった。banding周径はRt.PAB 10.3±0.8mm、Lt.PAB 10.5±0.7mm、術中TEEでRt.PAB内径1.66±0.16mm、Lt.PAB内径1.83±0.24mm、流速はRt.PAB 3.3±0.4m/s、Lt.PAB 3.4±0.5m/sであった。術後TTEでRt.PAB内径1.72±0.38mm、Lt.PAB内径1.89±0.38mmで、流速はRt.PAB 3.9±0.5m/s、Lt.PAB 3.7±0.8m/sであった。【結論】Lasso法によるbPABは術中TEEと術後TTEの内径計測結果から、再現性の高い絞扼調整法である。また術中TEEでbPAB部の内径を1.5~2.0mmの範囲に調整することが一つの至適絞扼基準であると示唆される。