第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション28(I-P28)
外科治療 3

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:新川 武史(東京女子医科大学 心臓血管外科)

[I-P28-01] 新しい小児用肺動脈弁付き導管のデザイン開発および機能評価

鈴木 憲治1,3, 住倉 博仁2, 青木 満3, 萩野 生男3, 小嶋 孝一4, 飯塚 慶5, 築谷 朋典5, 巽 英介5, 新田 隆1 (1.日本医科大学 心臓血管外科, 2.東京電機大学 理工学部, 3.千葉県こども病院 心臓血管外科, 4.株式会社イワキ 研究開発部, 5.国立循環器病研究センター 人工臓器部)

キーワード:右室肺動脈人工導管, 右室流出路再建, 人工弁

【はじめに】右室流出路の狭窄・閉鎖を伴う先天性心疾患における再建術では、弁付き人工導管植え込み後弁周囲の血栓形成や弁尖の可動性低下により狭窄・逆流が生じ、結果的に弁機能不全に陥る症例が散見される。そのため我々は以下の要領で新しい弁付き導管を開発した。右室流出路の後壁中央にヒンジを持ち、弁尖が中央に折りたたまれることで開口し、弁尖が広がり人工血管内腔と密着することで閉鎖となるePTFE製二葉弁(Nunn, et. al. 2008)を基に、さらに以下の2つの構造を追加した。1、bulging sinusを人工血管前壁部分に形成し、拡張期血流を同部位に取り込むことにより弁尖の十分な閉鎖を促す。2、弁尖の右室寄りの端に小孔を設けることで血液のうっ滞を解消し血栓形成を予防する。【目的】今回開発した新しいデザインの肺動脈弁位人工弁の機能評価を行った。【方法および結果】開発した二葉弁(B弁)と通常の弁構造を模したePTFE製三葉弁(T弁)について動態を観察した。1)静水圧試験(順方向)定常流遠心ポンプを用い、各流量での導管前後の圧較差を測定した。この結果流量2L/min、3L/min、4L/minにおいて圧較差(mmHg)はB弁0.37, 0.69, 1.09、T弁は1.11, 1.96, 2.88であった。2)静水圧試験(逆方向)導管肺動脈側に34mmHgの後負荷をかけ、1分間の逆流量(ml)を測定した。この結果B弁280.5、T弁169.0であった。3)拍動流試験各導管を右心系模擬循環回路に組み込み、圧較差と逆流率について評価した。この結果心拍数100/分、120/分、140/分において、弁前後の圧較差(mmHg)はB弁8.6、9.6、11.2、T弁は13.0、15.9、17.3、逆流率(%)はB弁15.7、14.5、13.7、T弁は18.1、15.9.14.4であった。【まとめ】B弁は逆流を許容した構造のため静水圧試験では逆流が多い傾向にあるが、拍動流試験では圧較差および逆流率においていずれの心拍数でも二葉弁が低値であり、弁葉および導管形状により、弁機能が向上する可能性が示された。