[I-P29-03] 人工弁サイズアップを目的とした小児期再僧帽弁置換術
Keywords:再僧帽弁置換, 人工弁サイズアップ, 狭小弁輪
【目的】当院で施行した人工弁サイズアップを目的とした再僧帽弁置換術(re-MVR)の経過を後方視的に検討した.【対象】2011年から2018年にre-MVRを施行した4例5回の手術.年齢は4歳~17歳(中央値13歳,以後同様),体重12.3~67.5kg(35.5kg).初期診断はMR 2例,先天性MS 1例,AVSD&TOF術後のMSR 1例で,初回MVRの年齢は4ヵ月~4歳2ヵ月(2歳7ヵ月),人工弁はATS-16mm 2例,ATS-18mm 1例,SJM-21mm 1例であった.Re-MVRの適応は全て相対的MSで,先行MVRからの期間は46~177ヵ月(92ヵ月)であった.【結果】AVSD術後症例では大動脈弁下狭窄解除等を併施した.置換弁の内容はATS-16mmから同-18mmへの置換2,ATS-18mmから同-22mmへの置換2,SJM-21mmから生体弁Epic-25mmへの置換1であった.AVSD例では中隔側を心房パッチに偏位させた傾斜型置換を要したが,その他4手術では弁輪に縫着した.MS症例の初回MVR時は狭小弁輪のため左房内傾斜法で植込みしたが,re-MVRでは僧帽弁輪に再置換した.同症例は術後洞機能不全に対しPM植込みを要した.心エコー評価による人工弁通過血流速度は術前2.3~3.4m/s(2.5m/s)から術後1.6~2.5m/s(2.0m/s)に低下(p=0.034),平均圧較差も術前10~21mmHg(14mmHg)から術後4~11mmHg(5.9mmHg)に低下(P=0.021)した.術後弁周囲逆流等なく軽快退院し,術後観察期間6~36ヵ月(26ヵ月)の経過は良好である.【考察】少数の経験ではあるが人工弁通過血流速度2.3m/s以上ではre-MVRを考慮し,より厳重な経過観察や評価が必要と思われた.【結語】1~2サイズアップの再僧帽弁置換術を4症例に計5回施行,早期成績は良好であった.