[I-P31-01] 肺高血圧症クリニカルパスを利用した地域医療連携
キーワード:肺高血圧症, 地域連携, クリニカルパス
【背景】肺高血圧症(PH)の診療は飛躍的に進歩し、特発性/遺伝性肺動脈性PH患児の予後も大いに改善してきたが、完全寛解には未だほど遠い。疾患発見までの時間と、患者が専門医に巡り会うまでの時間が予後を大きく左右することは間違いなく、最近の学会では後者がクローズアップされている。【目的】患児の早期発見と当院での早期治療を可能にすることを目的とした。【方法】"PH 地域連携パスの会"を2018年3月に発足させた。当院所在の文京区北東に位置する東京12区内の、14のクリニック、6大学附属病院と3つの中核施設を含む近隣主要施設(全て併せて連携施設)と、学校心臓検診の拠点である東京都予防医学協会で共有するPHクリニカルパスを作成した。連携施設から当院への患児の相談や紹介と、当院から連携施設への診療情報提供の双方向性をフローチャートとし、連携施設医師がPHを疑うべき症状経過、身体所見と参考となる検査所見を記載し、典型的な心電図と仮想症例のパンフレットを別途作成した。当院への診療情報提供書は患児の要点所見をチェックする簡便な書式で、症状経過欄には自由記載も可能である。当院から連携施設への診療情報提供書は詳細な精密検査結果と治療内容を記載する書式のほかに、連携施設受診時の留意点を記載する書式も追加した。年に二回の症例経過報告・講演会を企画し互いの情報交換を行っている。【結果】一名の重症PH患児がパスの活用により診断紹介となり、初期併用療法を開始し早期の治療効果判定により、治療開始後5か月でPGI2の積極的導入を開始し効果を実感している。【考察】連携施設のPH診断と治療に対する意識が高揚し、PH患児の早期発見と早期治療に結びついている。【結論】この取り組みを全国に広げ、PH治療のみならず稀少難治疾患の地域医療連携に活かしていくことを提言したい。今後は学会認定専門施設間の連携にも尽力していきたい。