[I-P32-05] 新生児期に診断・治療を行った孤立性右肺動脈欠損の2例
Keywords:孤立性右肺動脈欠損, 右動脈管, 新生児
【背景】 右肺動脈欠損は, 心疾患の合併が少ない「孤立性」が大半で新生児期には無症状であることが多く, 過去に孤立性右肺動脈欠損と診断された新生児報告例は7例にとどまる. 【目的】当院で新生児期に診断した孤立性右肺動脈欠損症例の特徴を調べ, 既報告との比較をすること. 【方法】当院で診断・治療が行われた孤立性右肺動脈症例の2例について後方視的に臨床経過, 画像所見を調査した. 【結果】新生児期に診断した孤立性右肺動脈欠損症例は2例. <症例1> 胎児心臓超音波検査で右肺動脈上行大動脈起始が疑われた. 39週に正常分娩で出生し, 心臓超音波検査で腕頭動脈基部(左大動脈弓)から起始する血管から右肺動脈への血流供給が確認された. 日齢3に介在血管が退縮し, 造影CTでは腕頭動脈基部に瘤を認め, 介在血管の造影効果を認めず右動脈管と診断した. 高用量のPGE1-CD製剤を使用しごくわずかに血流が見られたが不十分であり, 日齢5に主肺動脈と右肺動脈を人工血管で姑息的に吻合した. 体重10kg以上で修復術を行う予定である. <症例2> 40週で出生し, 気胸による低酸素血症のため前医NICUに入院. 日齢2に症例1と同様の超音波所見を指摘, 日齢3に介在血管の退縮が確認された. 日齢5に造影CTが行われ腕頭動脈基部に瘤を認め, PGE1-CD製剤投与を開始, 日齢6に当院に搬送され同日緊急姑息術を実施した. 【考察】過去に報告された症例は本報告を含めて9例で, 胎児心臓超音波が行われた症例は本報告が初めてであった.腕頭動脈基部に瘤形状を認める場合には介在血管が動脈管である可能性が高く, 密な観察および緊急手術に備える必要がある. 仮に発見した際に介在血管から先の末梢肺動脈の血流がエコーやCTで明らかに認められなくても, 新生児早期であれば吻合可能な末梢肺血管を確保することができ, 積極的に外科的介入を検討することが肝要である.