[I-P33-01] 門脈肺高血圧に対する肝移植の早期効果
Keywords:門脈肺高血圧, 肝移植, 肝疾患
【背景】肺高血圧治療薬の発展により門脈肺高血圧のコントロールは比較的容易となってきた。しかしながら原因となる肝疾患の治療なしでは正常化を期待できず、門脈肺高血圧は肝移植の適応となる。今回我々は当院で肝移植を施行した門脈肺高血圧患者の肝移植前後のカテーテル検査データを比較し、肺高血圧の改善に寄与した因子について検討し、今後の治療方針について考察した。【目的】過去、門脈肺高血圧が疑われる34症例についてカテーテル検査を施行した。その中で、肝移植前後のデータが当院に存在し、心疾患合併を除外した9症例(門脈無(低)形成 3例、胆道閉鎖 6例、男女比は1:8)について検討した。【結果】肝移植前後で平均肺動脈圧は40.6±6.5から29.0±6.7mmHgと28.6%の低下を認めた。肺血管抵抗は4.9±2.2から4.9±2.6U・m2と変化なく、心係数が9.3±3.2から5.7±1.9L/min/m2と低下した。このうち2症例、各々肝移植後3ヶ月、6年で肺高血圧治療薬中止を試みた。中止前後の平均肺動脈圧は大きく変わらなかったが、肺血管抵抗は5.49から11.1U・m2、4.17から9.04U・m2と上昇し、心係数は4.07から3.46L/min/m2、3.43から2.74L/min/m2と低下した。【考察】以上の結果から、門脈肺高血圧症例では肝移植施行後も肺血管抵抗の低下には長期の時間がかかり、肺高血圧治療薬の肝移植後早期の中止には注意が必要と考えられた。