[I-P33-02] 門脈肺高血圧患者は肺高血圧治療薬を中止できるか
キーワード:門脈肺高血圧, 肺高血圧治療, 肝移植
【背景】門脈肺高血圧に対する肺高血圧治療は確立されつつあるが、原因となる肝疾患治療後の肺高血圧治療薬 漸減・中止の基準が不明確である。また漸減中止可能であった症例報告はほとんど認めず今後の治療方針について検討が必要である。今回2症例で肺高血圧治療薬の漸減中止を試みたので、その前後の検査データをふまえて報告する。【症例】症例1は門脈無形成・肺高血圧の21歳 女性。肝移植前はマシテンタン、アンブリセンタンを内服していた。21歳時に肝移植を施行。移植3ヶ月後に副作用のために肺高血圧治療薬を一旦中止とした。平均肺動脈圧は40から43mmHgと変化なかったが、肺血管抵抗は5.49から11.1U・m2と増悪、心係数は4.07から3.46L/min/m2と低下した。アンブリセンタン再開後も肺血管抵抗は8.41U・m2と未だ高値である。症例2は胆道閉鎖葛西術後の33歳 女性。移植6年後に挙示希望のためマシテンタン、アンブリセンタンを中止した。平均肺動脈圧は30から31mmHgと変化なかったが、肺血管抵抗は4.17から9.04U・m2と増悪し、心係数は3.43から2.74L/min/m2と低下した。マシテンタン、アンブリセンタン再開後も肺血管抵抗は6.29U・m2と未だ高値である。【考察】なお、当院でPGI2製剤持続点滴含めた長期肺血管治療薬後に肺高血圧治療薬を中止可能であった(怠薬のため中止状態)症例は、胆道閉鎖葛西術6年後に門脈肺高血圧と診断され、14年間のPGI2製剤持続点滴を含めた15年間の肺高血圧治療薬を継続した肝移植未施行の22歳 女性症例のみである(平均肺動脈圧 20mmHg、肺血管抵抗 2.04U・m2)。【結論】以上の経験から、門脈肺高血圧は肝疾患治療後も継続的な肺高血圧治療薬が必要であり、漸減中止には長期間かかる可能性が示唆された。