[I-P33-03] 長期にわたり経過をフォローした成人門脈肺高血圧症の1例
Keywords:門脈肺高血圧症, 易出血傾向, 肺血管拡張薬
【背景】特発性門脈圧亢進症は、肝内門脈の閉塞により門脈圧亢進症を来す疾患で、その数%にPoPHを合併する。PoPHは予後不良で、診断から1年以内に54%が死亡するとされる。【症例】32歳女性。10歳時に吐血から特発性門脈圧亢進症、食道静脈瘤と診断され、部分的脾動脈塞栓術、経回腸静脈側副血行路塞栓術を受けた。12歳時に失神し、精査によりPoPHと診断した。初回心カテでは肺動脈圧75/32(48)mmHg、肺血管抵抗18.7U*m2であり、ベラプロストを開始したが頭痛等の副作用の訴えが強く中止した。Ca拮抗薬を開始したが、14歳時に平均肺動脈圧54mmHgと増悪、利尿剤を追加しHOTを導入した。23歳時にシルデナフィル開始後、25歳時にタダラフィルへ変更、27歳時にボセンタンを追加したが、既にその頃、肺動脈圧は体血圧と等圧であった。また同年、智歯の抜歯時に止血困難となり10日間入院したが、その際、血小板・凝固因子の低値が持続。瘤状拡張した肺動脈内での血栓形成に起因する慢性DICと考えられた。30歳時に両側卵巣から出血があり、DICにより止血困難であったため、両側の卵巣摘出に至った。32歳時、少量の喀血を契機に入院した際に小脳出血を発症、出血部位は徐々に拡大傾向となったため、緊急開頭減圧術を施行。手術は無事終了したが、術後に状態が急変し永眠した。【結語】12歳時に診断後20年生存したPoPHの一例を経験した。20年の間に多くの肺血管拡張薬が開発され、投与をしたが、既に病勢は進行しており改善は得られなかった。経過中、出血傾向が増悪し、多臓器に出血性合併症が連続して起こり、不幸な転帰をとった。