[I-P33-04] 肺動静脈瘻を合併した先天性門脈体循環シャント
キーワード:門脈体循環シャント, 肺動静脈瘻, 先天性心疾患
【背景】先天性門脈体循環シャント (CPSVS)はしばしば肺動静脈瘻(PAVF)を合併するとされるが、その病態はよくわかっていない。【目的】PAVFを合併したCPSVSの臨床像を明らかにすること。【対象・方法】九州大学病院で2014年1月より2019年1月の間に経験したCPSVS13例(PAVF有り:P群6例、PAVF無し:N群7例)を対象とした。全例、超音波もしくはCT画像で門脈低形成及び門脈体循環シャントが疑われ、カテーテルによる選択的血管造影を行い、CPSVSと診断した。PAVFはコントラストエコー及び肺動脈造影にて診断した。2群間で臨床像、カテーテル検査所見を比較検討した。【結果】診断時年齢中央値はP群8.5(0-18.5)歳、N群3.5(0-11.9)歳とP群で高い傾向にあった。基礎疾患として、先天性心疾患の合併はP群6例、N群3例とP群で有意(p<0.05)に多く認めたが、多脾症候群(P群:2例、N群:1例)、Fontan手術例(P群:3例、N群:1例)に有意な差はなかった。カテーテル検査所見ではPAPm中央値はP群17.5(9-21)mmHg、N群12.0(8-45)mmHgで差は認めなかった。Qpの計算はP群では肺静脈酸素飽和度を98%と仮定し、PAVMを通過しない肺血流量(有効肺血流量)として算出し、P群3.1(2.4-4.2)L/min/m2、N群 6.1(4.1-8.0)L/min/m2とP群で有意(p<0.05)に低かった。RpIはP群1.4(1.0-6.4)、N群0.7(0.1-9.0)WU・m2で差は認めなかった。また、CVP、ABP、Qs、RsI、シャント血管径及び門脈圧は2群間で有意な差は認めなかった。【考察】門脈圧亢進症では血管拡張物質の影響で抹消血管抵抗が低下し循環亢進状態となる。CPSVSにおいても同様の機序が想定されるが、PAVFを合併したCPSVSでは有効肺血流量は低下しており、相対的に肺血管抵抗値が高い状態と思われた。これは増加した血流量に対して肺血菅床が十分でなく、PAVFを発生させた可能性が示唆される。