[I-P33-05] 高用量トレプロスチニル持続静注療法中の重症特発性肺動脈性肺高血圧症患者における多様なカテーテル関連血流感染の反復
Keywords:肺動脈性肺高血圧症, プロスタグランジン製剤持続静注, カテーテル関連血流感染
【背景】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療において、プロスタグランジン(PGI2)製剤持続静注療法は欠かせない選択肢だが、カテーテル関連血流感染(CRBSI)が問題となる。【症例】16歳男性。小学4年(10歳)時の学校心臓検診で心電図異常を指摘され、PAHと診断された。経口治療薬により治療を開始されたが肺動脈圧は低下せず、12歳時(平均肺動脈圧:mPAP=61mmHg)にPGI2製剤持続静注療法を導入した。しかし、改善は見られず(mPAP=73mmHg)、エポプロステノールに起因する血小板減少が続いたため、13歳時にPGI2をトレプロスチニルに変更した。14歳時、腸炎症状の先行後に微熱が持続し、腸管からのbacterial translocationに伴うCRBSIと考えて抗菌薬を開始した。血液培養、カテーテル先端部培養からKlebsiella oxytocaが検出され、カテーテルを抜去した。血液培養陰性化より3週間後にカテーテルを再挿入した。15歳までにトレプロスチニルを141ng/kg/minまで増量したがmPAP=56mmHgと改善はなく、肺移植レシピエント登録・移植待機している。16歳時にカテーテル接続部への逆血に起因した血液凝固塊が感染巣と思われるAchromobacter xylosoxidansによる菌血症を起こした。CRBSIと判断し、抗菌薬投与を開始した。カテーテル抜去により血液培養が陰性化し、その3週間後に再挿入した。本人の希望により皮下注への切り替えは行わなかった。【考察】3年間で起因菌および感染経路の異なる2回のCRBSIを同一患者で経験した。肺移植が必要な重症PAHでありPGI2持続投与は中止できないため、留置カテーテル抜去から新規挿入まではPICCカテーテルを挿入し投与を継続した。いずれもカテーテル抜去により速やかに解熱および血液培養の陰性化が得られ、PAHの急性増悪や右心不全の合併なく治療することができた。