第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション35(I-P35)
その他 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:濱田 洋通(東京女子医科大学八千代医療センター 小児科)

[I-P35-02] 当院で経験した心嚢液貯留を伴う血液腫瘍疾患症例の検討

桑原 浩徳, 井上 忠, 前田 靖人, 高瀬 隆太, 吉本 裕良, 籠手田 雄介, 須田 憲治 (久留米大学医学部 小児科)

キーワード:心嚢液, 心タンポナーデ, 血液腫瘍

【背景】白血病や悪性リンパ腫などの腫瘍細胞の心膜浸潤により、心嚢液が貯留することが知られており、心タンポナーデを契機に白血病と診断された症例も報告されているが、血液腫瘍疾患に合併する心嚢液貯留の経過や臨床像についての報告は少ない。【目的】当院で経験した心嚢液貯留を伴う血液腫瘍疾患について、その臨床像を明らかにすること【方法】2013年1月から2018年12月の期間で当院に入院した血液腫瘍疾患50例のうち、入院時に心嚢液貯留を認めた症例を抽出、原疾患、画像所見、治療、転機などについて調査。心嚢液貯留については、心エコー検査で全周性に5mm以上のエコーフリースペースを認めるものとした。【結果】抽出した症例は全3例、男性2例、女性1例。原疾患は急性骨髄性白血病、縦隔悪性リンパ腫、一過性骨髄異常増殖症。診断時の年齢は3生日、3歳、18歳、心タンポナーデの症状として呼吸障害、血圧低下を来したものが1例、エコー検査で心嚢液貯留の計測最大値10,12,22mm、EF70%,71%,82%、E/e’7.5,8.3,10.7、1例で右室拡張期虚脱所見を認めた。胸部レントゲンでCTR40%,56%,66%であった。1例で心タンポナーデと診断し心嚢穿刺施行。全例とも原疾患の治療とともに再燃なく心嚢液貯留の改善を認め、改善までの期間は心嚢液貯留の診断から1日、15日、6ヶ月。【考察】当院における血液腫瘍疾患のうち心嚢液貯留を来したものは6%。心拡張能や収縮能は概ね保たれている場合が多く、心タンポナーデを来した例では呼吸・循環障害やエコー上右室拡張早期の虚脱が見られた。抗癌剤や放射線治療の副作用による心嚢液貯留や、免疫不全による感染性心膜炎の可能性もあるため、今後も注意深いフォローアップが必要である。【結論】血液腫瘍疾患の診療において臨床所見に加え心エコーによる心嚢液、心機能の継続的な評価が重要であり、心タンポナーデをきたした場合は心嚢穿刺を含めた緊急処置が必要である。