第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

その他

ポスターセッション35(I-P35)
その他 1

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:濱田 洋通(東京女子医科大学八千代医療センター 小児科)

[I-P35-04] 急性腸炎症状を契機にMERS(軽症脳炎)および感染性心内膜炎を発症した心室中隔欠損の1例

塚原 理恵, 河津 由紀子, 徳永 康行, 茶山 公祐 (市立豊中病院 小児科)

Keywords:感染性心内膜炎, 心室中隔欠損, MERS

【背景】小児期感染性心内膜炎(IE:Infective endocarditis)は予防法、抗菌薬治療法の発達にもかかわらず、依然として一定の頻度に認められ、罹病率、死亡率ともに高い。また、MERSは可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症と定義され、発熱後早期に発症する予後良好な神経症状と特徴的な画像変化を認める急性脳症である。今回、急性腸炎症状を契機としてIEとMERSを発症した心室中隔欠損(VSD)症例を経験したので報告する。【症例】 11歳男児。軽症VSDにて他院通院中。今回、4日間継続する発熱、嘔吐、下痢を主訴に当院を受診。CRP5と上昇、脱水所見も強く当科へ緊急入院。当日より幻覚の訴えあり、頭部MRIにてDWIで脳梁膨大部、膝部および両側放線冠に高信号域を認めMERSと診断。血液培養よりメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)検出、造影CTにて肺野の感染性塞栓および腎血流欠損を認め、MSSAの菌血症と診断。入院初回の心エコー検査では明らかな疣贅は指摘されなかった。その後も発熱は継続。翌日の心エコー検査にてVSD膜様部中隔瘤の右室側に付着する最大16mmの可動を伴う紐状エコーを認め疣贅と判断。感染性心内膜炎として抗菌薬治療を開始した。その後、急性期以降は神経症状も消失し、頭部MRIにて病変の消失を確認。6週間の抗菌薬投与にて疣贅は消失、炎症反応陰性を確認して軽快退院となった。VSDについては近日中に治療方針を決定する予定である。【まとめ】 MSSAによる菌血症からVSDでの疣贅が形成され、二次的に感染性心内膜炎を発症したと考えられた。腸炎症状、MERSによる神経症状や肺梗塞など多彩な臨床症状を呈した症例であり報告した。