[I-P36-01] 年長ファロー四徴術後患者の右室流出路再建適応と左心機能低下
キーワード:ファロー四徴症, reRVOTR, 左心機能
【背景】年長のファロー四徴術後(TOFpo)患者において、右室流出路再建(reR)の適応になるような強い右心負荷状態にある時場合に、左心機能の低下が生じている印象がある。【目的】reR適応を満たしている年長のTOFpo患者で左心機能が低下しているか検討した。【方法】対象は2010年~2018年にカテーテル検査を施行された15歳以上のTOFpo 136人。reR適応をRVEDVI≧170ml ml/m2、RVEF<40%、RV/LV圧比≧0.80とした。これら3基準のうちいずれかひとつを満たす患者群をreR強適応群(n=40)とし、残りの非適応I群(n=96)との間で左心機能を比較した。次にreRの3基準を以下のように弱めた:≧170→≧150ml/m2; <40%→<45%; ≧0.80→≧0.70。これら3基準のうちいずれかひとつを満たす患者群をreR弱適応群(n=70)、残りを非適応II群(n=66)とし、同様に左心機能を比較した。【結果】reR強適応群は非適応I群に比べて、左室拡張末期容積(p=0.00092)、左室収縮末期容積(p<0.0001)は大きく、左室駆出率は低下していた(p<0.0001)。左室拡張末期圧に有意差はなかった。同様に、reR弱適応群は非適応II群に比べて、左室拡張末期容積(p=0.00081)、左室収縮末期容積(p=0.00023)は大きく、左室駆出率は低下していた(p=0.0011)。左室拡張末期圧に差はなかった。心不全治療に関しては、reR強適応群は非適応I群に比べACEI/ARBの使用率は高かったが、βブロッカーの使用率は2群間で有意差がなかった。reR弱適応群と非適応II群の間でACEI/ARB、βブロッカーの使用率に有意差はなかった。【まとめ】年長のTOF術後患者で、reRの強い適応となるような右心負荷がある状態では、対照群に比べて左室の収縮能は低下していた。また、reRの弱い適応を満たすような場合でも適応を満たさない群に比べて明らかに左室収縮能は低下していた。reRの適応を満たすことが予想される例では、抗心不全療法をもっと積極的に行った方が良い。