[I-P37-01] Fontan術前後の心臓カテーテル検査に位相差MRI流量分析を組み合わせた血行動態評価
キーワード:フォンタン, 大動脈肺動脈側副血行, MRI
【背景】Fontan(F)術前後の心臓カテーテル検査(CC)の圧測定に位相差MRI流量分析(MRI)を組み合わせればより正確な血行動態を評価することができる.【目的】F循環破綻危険因子について検討する.【方法】対象は2009~2018年にGlenn(G)術後(pre)とFontan術後(post)にCC/MRIを組み合わせて行った32症例64セッション.F術前2週間以内に大動脈肺動脈側副血行(APC)に対してコイル塞栓術(CE)を行った.MRIにより肺血流量(Qp)は肺静脈合計,体血流量(Qs)は体静脈合計,APCは直接法(肺静脈合計と肺動脈合計の差)と間接法(上行大動脈と体静脈合計の差)の平均,肺血管抵抗(Rp)はCC による肺動脈圧勾配/Qpで算出した.F循環破綻回避のため肺血管拡張薬(平均肺動脈圧(mPAP)15mmHg以上)または在宅酸素療法(動脈血酸素飽和度(SaO2)Glenn術後70%以下,開窓Fontan術後90%以下)による補助有17例と補助無15例で比較した.【結果】補助有/無でpostAPC 1.6±0.8/0.7±0.5l/min/m2, postQs 2.8±0.6/3.2±0.4l/min/m2, postmPAP 14±2/12±2mmHg, prePAI(肺動脈係数) 171±57/241±51, postPAI 186±66/222±49, preSaO2 75±7/81±3%, postSaO2 87±7/94±1%で有意差を認めた.Cutoff値はpostAPC 1.1l/min/m2, postQs 2.9l/min/m2, postmPAP 13mmHg, prePAI 208, postPAI 202, preSaO2 79%, postSaO2 92%であった.先行手術は補助有で肺動脈絞扼術,補助無で短絡手術が多かった.先行手術数,G月齢,F月齢,GF間隔, APC塞栓コイル数,ドレナージ期間,体静脈走行異常(両側上大静脈,下大静脈欠損),APC増悪因子(横隔神経麻痺,縦隔炎,上葉枝閉塞,肺静脈閉塞)に有意差を認めなかった. 【結語】F循環破綻予備群はPAIが低くSaO2も低値で,少ない順行性肺血流,低酸素血症を代償するためAPCが発達し結果Qsが少なかった.CEはF術後急性期管理を改善している可能性があるが,補助有ではAPCはF術後しばらくすると再発達していると考えられた.