第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

心臓血管機能

ポスターセッション37(I-P37)
心臓血管機能 2

Thu. Jun 27, 2019 5:40 PM - 6:40 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:高橋 実穂(筑波大学医学医療系 小児科)

[I-P37-04] 修正大血管転位症における肺動脈絞扼術 -左室トレーニングの新たな効果判定方法-

藤井 隆成, 長岡 孝太, 山口 英貴, 樽井 俊, 宮原 義典, 籏 義仁, 石野 幸三, 佐野 俊二, 富田 英 (昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)

Keywords:修正大血管転位症, 心臓カテーテル検査, 肺動脈絞扼術

【背景】修正大血管転位症(ccTGA)に対するダブルスイッチ手術(DSO)では、術後の左室機能低下が問題となる。特に事前に肺動脈絞扼術(PAB)による左室トレーニングを要する群では、術後の左室機能低下の予測が鍵となる。しかし左室トレーニングの効果判定方法は確立していない。【目的】ccTGAにおけるPAB後の左室トレーニング効果判定方法を検討すること。【方法】該当する症例の方視的検討。【結果】症例1)心室中隔欠損を伴わないccTGA。中等度の三尖弁逆流を認め、DSOを念頭に生後8ヶ月でPABを施行、1歳9ヶ月で心臓カテーテル検査を施行した。左室圧/右室圧比、左室心筋重量、左室容積・収縮率、predictive wall stressなどの左室トレーニング効果判定の各指標は既存の基準を充足し、3歳でDSOを施行。術後、左室収縮率は30%と低値で推移し、抗心不全療法を継続している。症例2)心室中隔欠損なし。三尖弁逆流の増悪を認め、7歳でPABを施行。症例1での経験から、従来の指標に加えて心臓カテーテル検査で左室流出路のバルーンによる部分閉鎖およびドブタミン負荷を行い、左室予備能の評価を行った。術後1年10ヶ月時、2年6ヶ月時に、左室流出路のバルーン部分閉鎖とドブタミン負荷をそれぞれ行い、左室圧が大動脈圧を凌駕した状態で、心拍出量の低下、左室拡張末期圧の低下が生じないことを確認、現在DSO待機中である。【考察】従来の指標による左室トレーニングの効果判定は必ずしも正確ではない。バルーンによる左室流出路の部分閉鎖、ドブタミン負荷により、DSO術後に生じる左室負荷増大のシミュレーションし、左室予備能を評価することが可能であった。【結語】心臓カテーテル検査による左室流出路の部分閉鎖、ドブタミン負荷はccTGAにおけるPABによる左室トレーニングの新たな効果判定方法として期待が持たれる。