第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション3(I-PD03)
新生児期からの肺高血圧を、どう捉え、どの段階で、どんな治療をすべきか?

Thu. Jun 27, 2019 8:40 AM - 10:10 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:土井 庄三郎(東京医科歯科大学大学院 小児・周産期地域医療学)
座長:与田 仁志(東邦大学医療センター大森病院 新生児科)
ディスカッサント:加藤 太一(名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学)
ディスカッサント:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
ディスカッサント:澤田 博文(三重大学医学部小児科・麻酔集中治療学)
ディスカッサント:小垣 滋豊(大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科)
ディスカッサント:福島 裕之(東京歯科大学市川総合病院 小児科)

[I-PD03-03] 慢性肺疾患の肺高血圧症における呼吸介入と気道評価の有用性

今西 洋介1, 田村 誠1, 森川 一恵1, 山道 奈都子1, 平田 克弥1, 野崎 昌俊1, 望月 成隆1, 平野 慎也1, 和田 和子1, 高橋 邦彦2, 萱谷 太2 (1.大阪母子医療センター 新生児科, 2.大阪母子医療センター 小児循環器科)

Keywords:肺高血圧, NAVA, 気道評価

【緒言】慢性肺疾患(CLD)を有する早産児における慢性期の肺高血圧症(PH)は多くが重症化しその管理に難渋する。一酸化窒素や肺血管拡張薬の効果は限局的だが、それら以外の呼吸介入によりPHが改善した2例を通し当院での呼吸介入や気道評価の現状を報告する。
【症例1】在胎26週1日、出生体重820g、CLDⅢ型。出生後よりIMVを経て日齢2よりNeurally adjusted ventilator assist(NAVA)管理。HFO管理を交互に併用しつつ修正34週頃よりPHの増悪を認めiNO,Sildenafil内服開始も改善を認めなかった。同時期よりファイティングが顕著となり気管切開、NAVAのみの管理を経て抜管、NIV(Noninvasive)NAVAを使用し酸素化の改善を認め、修正5ヶ月でiNO離脱し生存退院の見込み。
【症例2】在胎24週0日、出生体重692g、CLDⅢ型。出生後よりIMVを経てHFO管理、修正33週に抜管としたが修正37週頃より啼泣時SpO2低下を繰り返し再挿管。その後iNO開始、Dexamethasone、PGI2投与、Sildenafil内服開始もPHの改善を認めず。修正49週に気管切開施行、その後より次第に体動時のSpO2低下が改善しiNOを離脱し、修正1年8ヶ月に人工呼吸器離脱。
【考察】2例は呼吸器設定の変更や気管切開が換気効率や肺血流の改善を促しPHを改善したと思われる。当院でNAVA管理を行った在胎26週未満ではHFO管理群と比べ修正36週までの体重増加率が高く、肺の成長が改善に寄与したと推測される。また当院過去10年で気道評価を行ったCLD症例14例中8例に気管軟化症を認めた。その8例中7例(87.5%)に気管培養でMRSA検出を認め、気管培養でGNRを認めた群で CLDの悪化を認めた。早産児のCLDに伴う慢性期のPHはiNOや血管拡張剤に一定の効果を認める報告も散見されるが、増悪に肺や気道の要因は大きく、その対策は常に念頭に置いておく必要がある。
【結語】CLDに伴うPHの改善と予防には症例毎にあった呼吸介入、気道病変の評価、MRSAやGNRなど気管培養の定期評価が重要である。