第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム5(I-S05)
post tolvaptan eraのうっ血解除戦術〜利尿薬をどのように使うか

2019年6月27日(木) 10:20 〜 11:50 第3会場 (大ホールC)

座長:稲井 慶(東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)
座長:脇 研自(倉敷中央病院 小児科)

[I-S05-02] NICUにおけるトルバプタンの使用経験

佐藤 有美1, 阪田 美穂1, 白井 丈晶2, 山本 真由子3, 園尾 文子3 (1.加古川中央市民病院 小児科, 2.加古川中央市民病院 循環器内科, 3.加古川中央市民病院 心臓血管外科)

キーワード:tolvaptan, pediatrics, NICU

【背景】バソプレシンV2受容体拮抗剤であるトルバプタンのNICUにおける使用報告は少ない。今回NICUにおいて、トルバプタンを使用した経験をまとめ報告する。【目的】NICUにおけるトルバプタンの投与方法、有用性について検討すること。【方法】2015年9月~2019年1月までに、当院NICUにおいて、フロセミドの効果が不十分であり、トルバプタンを使用した11症例について、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】疾患は、先天性心疾患に伴ううっ血性心不全5例、NEC後の胆汁うっ滞性肝障害2例、重症仮死後の循環不全2例、胸水2例であり、うち5例は染色体異常や遺伝子異常を合併していた。全例、体液貯留があるにも関わらず、他の利尿剤にて効果が十分得られない状態であった。投与開始時日齢は、3~208(中央値64)日、投与開始時体重は、480~4838(中央値 2122)g、投与開始時修正週数は、在胎29~66(中央値40)週であった。投与開始量は、0.2~0.6mg/kg/回(中央値 0.34)で、尿量・電解質に注意しながら斬増し、最高投与量は0.3~1.5(中央値0.68)mg/kg/dayであった。絶食中の1例は注腸で投与した。全例において利尿は良好となり、容量依存的な効果が示唆された。2例で高Na血症を認めたが、投与Na量の調節やトルバプタンの減量にて改善し、その他の有害事象は認めなかった。【考察】トルバプタンは、早産児を含めNICU入院の対象となるような児においても、容量依存性に利尿効果を発揮した。至適投与量は、年齢や病態によって大きく異なっていた。今後、更に症例を蓄積し、NICUでの使用における効果・安全性・至適投与量検討をするに値する薬剤であると考える。【結語】他の利尿剤では除水が困難な症例において、トルバプタンは、NICUにおいても有用な利尿剤となりうる。