[I-S05-03] 小児うっ血性心不全に対する高張食塩水とフロセミド併用治療
キーワード:高張食塩水, フロセミド, 利尿薬抵抗性
利尿薬は心不全症状・徴候を有する場合にうっ血の解除を目的に投与される薬剤である。心不全におけるうっ血状態では、有効循環血漿量の低下による腎血流の低下自体が神経体液性因子を賦活化し、尿細管での水・ナトリウム再吸収により体液量を増加させて有効循環血漿量を増加させるように代償する。腎血流低下を伴った浮腫の解消目的に利尿薬を用いると利尿薬と腎血流が相加的に神経体液性因子を賦活化し,腎血流をさらに低下させることとなる。腎血流低下時の神経体液性因子の賦活化抑制に高張食塩水を併用しながら利尿剤を使用することで有効にうっ血を解除することができる。近年、小児のうっ血性心不全に対してもバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンの有効性が報告されているが、新生児や乳児では尿濃縮力が不十分なためその効果は得られにくい。我々は乳児期の利尿薬抵抗性うっ血性心不全に対して高張食塩水(3%NaCl)とフロセミドの持続静注が有効であることを報告した。また重度のうっ血性心不全では腸管浮腫により内服薬では十分な効果が得られにくいことをしばしば経験する。内服薬であるトルバプタンが有効でない場合にも高張食塩水治療はうっ血に対する治療の選択肢となりうる。小児における利尿薬抵抗性うっ血性心不全に対する高張食塩水治療の経験を述べたい。