[I-S05-05] 小児開心術後の利尿剤使用に関する検討
Keywords:小児心臓手術, 術後急性期管理, 利尿剤
【目的】 小児心臓手術の周術期管理において利尿剤は欠かせない存在であり、ループ利尿薬を中心に、サイアザイド系利尿薬、K保持性利尿薬、浸透圧性利尿薬、ヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチドなどが使用され、近年ではバソプレシンV2受容体拮抗薬の使用も増えている。このような中で利尿剤使用法の選択肢は拡がりつつあるが、小児集中治療領域における報告は極めて少ない。今回、小児開心術の術後急性期管理における利尿剤について、当院での使用変遷を振り返って検討を行った。【方法】 2015年1月から2018年12月までに当院で施行した小児開心術(18才未満)713例を対象とし、術後CICU滞在中に使用した利尿剤に関して後方視的な検討を行った。【結果】 当院CICUでの術後急性期管理の基本方針として、2016年9月までフロセミド・マンニトール混合持続静脈投与(A群)を、それ以降はフロセミド単独持続静脈投与(B群)を導入維持利尿剤とし、利尿除水状況に応じてその投与量の増減や、カルペリチドやアミノフィリンを併用した。内服利尿薬はフロセミドとスピロノラクトンを基本使用とし、ヒドロクロロチアジドやトルバプタンを適宜併用している。利尿剤持続静脈投与の平均開始時期はA群が有意に早く、術後1日目のフロセミド最大使用量はA群8.2±4.5mg/kg/h、B群6.1±2.7mg/kg/hであった。術後2日間の平均尿量と総除水量はA群で有意に多かったが、術後2日間での血清クレアチニン値の上昇率はA群のほうが高く、挿管日数やICU滞在日数はB群が短い傾向を認めた。【結論】 小児開心術の術後急性期管理において、術後早期からの積極的な利尿剤使用によって急性腎障害のリスクは高くなるが、術後の循環動態や体液状態に応じて利尿剤を使用することにより、開心術後の臓器保護や予後改善が期待できると考えられた。