[II-CBCJS-04] 小児心筋炎治療における心筋生検の役割 ~心筋症も見据えたアプローチ~
キーワード:心筋症, ステロイド, 病理組織診断
【背景・目的】心筋炎治療にあたり,病理組織診断や病因ウイルスの検索はステロイドの適応判断等の治療法選択において重要である.また,拡張型心筋症と臨床診断された症例には一定数の慢性心筋炎が含まれている可能性が指摘されるなど,正確な診断には心筋生検が必須である.しかし小児心筋炎・心筋症診療の現場において,心筋生検が広く普及しているとはいえない.当院における心筋生検の位置づけについて検証した.【対象・方法】生検で病理診断された心筋炎9例を対象とし,臨床病型分類,病理組織分類,病因ウイルス,治療,予後,臨床経過等について後方視的に検討した.【結果】男児3例,女児6例.発症時年齢:4.25歳(中央値,7ヵ月~12歳).発症時臨床病型分類:急性心筋炎 1例(遷延性慢性心筋炎に移行),劇症型心筋炎 6例(うち2例は遷延性慢性心筋炎に移行),不顕性慢性心筋炎 2例(うち1例は劇症様急性増悪).病理組織分類:リンパ球性 8例,好酸球性 1例.心筋からのウイルス検出:パルボウイルスB19,サイトメガロウイルス,エンテロウイルスD68 各1例.治療:ECMO 7例(劇症型心筋炎 6例,慢性心筋炎急性増悪 1例),経皮的左房減圧術 4例,外科的左室ベント挿入 3例,IVIG 9例,ステロイド投与 3例(急性期 2例,慢性期 1例).予後:軽快 4例,拡張型心筋症に移行 2例,左室瘤残存 1例,死亡 2例.【まとめ】慢性心筋炎は拡張型心筋症様病態を呈し,不顕性に発症し慢性に経過する「不顕性」と,急性心筋炎後も持続する「遷延性」に大別される.特に前者は臨床経過のみでは拡張型心筋症との鑑別が困難である.当院において心筋生検で診断された心筋炎9例のうち5例を慢性心筋炎(不顕性 2例,遷延性 3例)が占め,決して稀ではないことが判明した.心筋炎・心筋症治療において心筋生検が果たす役割は決して小さくない.