[II-OR19-01] Deep Learning を用いたASD心電図診断
キーワード:心電図, 心房中隔欠損症, 人工知能
【背景・目的】心房中隔欠損症(ASD)は幼少期には無症状で経過することが多いものの成人期には症候化する場合もあり、学校検診などで早期発見が望まれる。近年、artificial intelligence (AI)による機械学習はDeep Learningを用いた手法により情報の”特徴量”の抽出が可能になってきたことからその応用の範疇は広がっている。本検討ではAIによる心電図判読のASD診断に関しての性能を検討する。【方法】検討1: Tensorflowを用いてDeep Neural Networkを含んだ学習モデルを構築。正常心、ASDの12誘導心電図計1192枚を学習させ、精度確認を行った。小児循環器医12名、小児科医5名による心電図判定を実施しその精度(precision = positive predictive value、recall = sensitivity、F score = harmonic mean of precision and recall)を比較した。検討2: 検討1のモデルを用いてデバイス閉鎖後の心電図の判定をさせ、閉鎖後(翌日、1-2年後、3-5年後)のASD検出率を検討した。【結果】結果1: precisionはAI 0.83、小児循環器医0.77、小児科医0.64、recall はAI 0.98、小児循環器医0.51、小児科医0.46、F scoreはAI 0.90、小児循環器医0.60、小児科医0.52であった。結果2: 閉鎖後のrecallは翌日0.64、1-2年後0.39、3-5年後0.33であった。【考察・結論】 AIを用いた判定では専門医より高い精度でASDの判定が可能であった。閉鎖前では98%と高い検出率を示しており、デバイス閉鎖後は7割近くが検出されなくなることから、閉鎖前・後いずれの対象を含んだ対象でもスクリーニングとして用いることで治療の必要のある症例を効果的に抽出することが期待できる。