第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

学校保健

一般口演19(II-OR19)
学校保健

2019年6月28日(金) 16:50 〜 17:50 第4会場 (中ホールA)

座長:泉田 直己(曙町クリニック)
座長:畑崎 喜芳(富山県立中央病院 小児科)

[II-OR19-02] 学校心臓検診のガイドライン(2016年版)における接合部調律取扱いの検診現場に与える影響

岡川 浩人 (滋賀病院 小児科)

キーワード:接合部調律, 学校心臓検診, ガイドライン

【はじめに】学校心臓検診のガイドライン(2016年版)において、従来B判定であった接合部調律が全例要精査、安静時心室拍数80回/分以上は上室頻拍に準じた扱いとする旨記載されたが、接合部調律自体の明確な診断基準は記載されていない。以前我々は、学校心臓検診精密医療機関の負担が増大する可能性があることを報告した。今回、新たなデータを追加し、接合部調律の頻度、心室拍数の分布について検討した。また、新ガイドライン導入前後の要精査数の変動についても検討したのであわせて報告する。【方法】2010年度~2013年度、2016年度~2018年度大津市学校心臓検診一次心電図検診対象者から任意抽出した6086名(小学1年生・4年生4004名、中学1年生2082名)を対象とし、接合部調律の頻度、心室拍数の分布について検討した。接合部調律の診断は、機械読影によらず、読影医師によるものとした。また、新ガイドライン導入前の2017年と導入後の2018年の接合部調律による要精査数の変動について、大津市学校心臓検診全体で検討した。【結果】接合部調律の頻度は小学生125名(3.1%)、中学生88名(4.2%)であった。接合部調律心室拍数の分布は、小学生は80-84回/分を頂点とする正規分布様分布、中学生は70-74回/分を頂点とする正規分布様分布となり、上室頻拍に準じる管理となる割合は小学生50%、中学生30%であった。新ガイドライン導入前後で要精査となった接合部調律患者数は小学生で4名から33名、中学生が3名から14名と有意に増加していた。【考察】接合部調律を全例要精査、安静時心室拍数80回/分を上室頻拍として管理する基準は過剰と考えられ、接合部調律の定義の明確化、基準見直しが必要と考えられた。