[II-OR19-04] 九州地区における小児期院外心停止の発生状況
Keywords:院外心停止, 児童生徒, 学校
【背景】学校管理下の突然死は着実に減少しているが、小児の院外心停止(OHCA)全体に関しては詳細な報告がない。九州学校検診協議会では2012年より九州地区で起きた20歳未満のOHCA例の発症状況調査を開始した。【目的】小児期OHCAの現状の把握と予後改善のための予測因子を検討すること。【対象と方法】2012年より各県医師会を通じて、OHCA例の報告を各地区教育委員会、学校医会、消防署に対して依頼した。本解析では2012~2016年の報告例で検討した。内容は年齢、性、基礎疾患、発生日、発生場所(学校、自宅、その他)、発生状況、発見者による心肺蘇生(BS-CPR)、AED使用/作動の有無、予後とした。脳機能カテゴリー(CPC)-1およびCPC-2を予後良好例とした。予測因子は多重ロジスティック解析を用いた。【結果】全体で701例の報告があった。重複例、心肺停止のない例、外因死を除いた506例を解析対象とした。年齢では0歳190例、1-5歳111例、6-11歳68例、12-19歳137例であった。発生場所は学校58例(11%)、自宅345例(68%)、その他103例であり、予後良好例は其々71%、7%、30%と著明な差があった(各々P<0.001)。学校発生例58例では49例(84%)にBS-CPRがあり、うち40例(82%)が予後良好例であった。基礎疾患では心疾患が62例(12%; 不整脈15例、先天心15例、心筋疾患12例)と最多であった。うち不整脈9例、先天心2例、心筋疾患8例は運動時におきていたが、予後良好例には差を認め各々100%, 100%, 50%であった。不整脈例は全例BS-CPRを受けていた。全体例での予後良好の予測因子ではBS-CPR有(P<0.001)、学校での発生(P=0.03)であり、反対に自宅での発生では予後不良因子であった(P=0.02)。【考察・結論】学校で発生した場合予後は良好であり、学校でのAEDの普及、CPR教育が進んでいることを窺わせた。またBS-CPRの存在は極めて高い予後改善因子であり、一般社会へのCPRの普及を今後も促進していく必要があると考えられた。