第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

学校保健

一般口演19(II-OR19)
学校保健

Fri. Jun 28, 2019 4:50 PM - 5:50 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:泉田 直己(曙町クリニック)
座長:畑崎 喜芳(富山県立中央病院 小児科)

[II-OR19-04] 九州地区における小児期院外心停止の発生状況

吉永 正夫1,9, 志田 正典2,9, 星子 浄水3,9, 大坪 善数3,9, 八浪 浩一4,9, 藤本 保5,9, 金谷 能明5,9, 高木 純一6,9, 砂川 信7,9, 添田 修8,9, 石川 司朗8,9 (1.鹿児島県医師会, 2.佐賀県医師会, 3.長崎県医師会, 4.熊本県医師会, 5.大分県医師会, 6.宮崎県医師会, 7.沖縄県医師会, 8.福岡県医師会, 9.九州学校検診協議会 専門委員会(心臓部門))

Keywords:院外心停止, 児童生徒, 学校

【背景】学校管理下の突然死は着実に減少しているが、小児の院外心停止(OHCA)全体に関しては詳細な報告がない。九州学校検診協議会では2012年より九州地区で起きた20歳未満のOHCA例の発症状況調査を開始した。【目的】小児期OHCAの現状の把握と予後改善のための予測因子を検討すること。【対象と方法】2012年より各県医師会を通じて、OHCA例の報告を各地区教育委員会、学校医会、消防署に対して依頼した。本解析では2012~2016年の報告例で検討した。内容は年齢、性、基礎疾患、発生日、発生場所(学校、自宅、その他)、発生状況、発見者による心肺蘇生(BS-CPR)、AED使用/作動の有無、予後とした。脳機能カテゴリー(CPC)-1およびCPC-2を予後良好例とした。予測因子は多重ロジスティック解析を用いた。【結果】全体で701例の報告があった。重複例、心肺停止のない例、外因死を除いた506例を解析対象とした。年齢では0歳190例、1-5歳111例、6-11歳68例、12-19歳137例であった。発生場所は学校58例(11%)、自宅345例(68%)、その他103例であり、予後良好例は其々71%、7%、30%と著明な差があった(各々P<0.001)。学校発生例58例では49例(84%)にBS-CPRがあり、うち40例(82%)が予後良好例であった。基礎疾患では心疾患が62例(12%; 不整脈15例、先天心15例、心筋疾患12例)と最多であった。うち不整脈9例、先天心2例、心筋疾患8例は運動時におきていたが、予後良好例には差を認め各々100%, 100%, 50%であった。不整脈例は全例BS-CPRを受けていた。全体例での予後良好の予測因子ではBS-CPR有(P<0.001)、学校での発生(P=0.03)であり、反対に自宅での発生では予後不良因子であった(P=0.02)。【考察・結論】学校で発生した場合予後は良好であり、学校でのAEDの普及、CPR教育が進んでいることを窺わせた。またBS-CPRの存在は極めて高い予後改善因子であり、一般社会へのCPRの普及を今後も促進していく必要があると考えられた。