[II-OR19-06] 小児・思春期家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体症例におけるCholesterol Year ScoreとcIMTとの関連性について
キーワード:冠動脈疾患, 家族性高コレステロール血症, cIMT
【背景】家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)は早発性冠動脈疾患発症のリスクが高い。しかし、その発症年齢は男性で30~50歳、女性で50~70歳と幅があり、症例ごとに大きく異なる。近年、リスク評価にコレステロール負荷の指標として、血清コレステロール値と年齢を乗じて得られるCholesterol Year Score (Chol YS) の有用性を示す報告が散見される。【目的】小児・思春期HeFHを対象としてcIMTを測定し、Chol YSとの関連性を縦断的に検討する。【対象と方法】薬物療法をせずに継続管理を行った小児、思春期HeFH15例(M:F=7:8)を対象とし、cIMTと血清脂質を継時的に測定した。【結果】初診時、年齢10.9歳(5.7~15.4)、cIMT 0.57 (0.40~0.70)、Chol YS 3327.9 (1757.4~4401.4)で、最終受診時(薬物療法開始時)、年齢17.4歳(14.7~20.4)、cIMT 0.50 (0.40~0.70)、Chol YS 5252.4 (3829.1~7299.1)であった。思春期に総コレステロールは平均37.8%低下した。【考案】HeFHでcIMTは冠動脈疾患発症の予測因子として知られている。しかし、成長期の小児では体格の変化、血圧の上昇に伴ってcIMTは生理的に肥厚する。今回の検討で、思春期に総コレステロールが一時的に低下してコレステロール負荷が減少する可能性が示唆され、また、思春期前後のcIMTの変化とChol YSとの間に関連性は認められなかった。【結論】小児・思春期HeFH において、Chol YSはリスク評価の指標としての有用性は確認できなかった。