[II-OR20-01] 小児ブルガダ症候群の発熱時心電図
Keywords:ブルガダ症候群, 発熱時心電図, 積極的解熱
【背景・目的】ブルガダ症候群(以下BrS)の小児が発熱で救急外来を受診した場合に、循環器専門医以外の医師が診療する機会が多く、BrSの発熱時の診療方針を体系化しておくことは重要である。小児BrSの発熱時心電図を検討する。【対象・方法】対象は小児期にBrSと診断し、経過観察中に発熱時心電図を記録できた10例。同胞例は2組。自然発生・高位胸部誘導・発熱時心電図、Pilsicainide負荷、Shanghai Score、等を検討した。【結果】男6例、女4例、計10名。診断時年齢 1.8∽13.2歳(平均6.1)、発熱時心電図記録 3.4∽19.0歳(平均9.2、中央値8.0)、発熱時体温 38.1∽39.3℃(平均38.9)、経過観察期間 0.8∽15.6年(平均8.1)、Shanghai Score 3.0∽9.0点(平均5.6)、Pilsicainide負荷を9例で行い全例陽性、遺伝子検査を9例で行い6例SCN5A変異あり。BrS診断根拠となった心電図が得られたのは、自然発生通常誘導3例、自然発生高位誘導2例、発熱時3例、薬物負荷2例。薬物負荷で確定した2例以外の8例は発熱時に心電図所見が増悪・明瞭化した。発熱時心電図変化は、J点上昇とdownsloping Tの明瞭化(幅拡大、T波陰転)を認めた。本研究の早期の2009年に1例が発熱入院後にVTに進展したが、その際、VT進展に先んじてwide QRSと房室解離を認めた。3例でVTを合併し、1例自然停止、2例集中治療(深鎮静、低体温)を要した。2009年以降は、全例で発熱時救急外来受診、心電図評価、積極的解熱を行い、心電図変化が強ければ輸液・入院経過観察とした。3例でキニジン予防内服。以上の対策後、VTの再発はない。【考察・結語】BrSの発熱時心電図は、J点上昇とdownsloping Tの明瞭化(幅拡大、T波陰転)、wide QRS化、房室解離が重要である。BrSの発熱時心電図変化を非循環器医も含めて広く情報提供することが必要である。【参考文献】Dumaine. Circ Res. 1999;85:803、Antzelevitch. Europace 2017; 19: 665