[II-OR23-03] 極低出生体重児の生直後の状態は日齢1の右室長軸機能に影響を与えるか?
キーワード:新生児, 右室, TAPSE
【はじめに】脳室内出血は極低出生体重児の主要な、回避すべき合併症である。静脈うっ滞はその成因の一つとされることから、良好な右室機能獲得は極低出生体重児にとって重要と考えられる。右室長軸機能は、右室機能を大きく規定する。我々は、生直後の状態が日齢1の右室長軸機能に影響を与えるという仮説を検証する。【方法】2016年12月以降に出生した在胎23週以上30週未満の極低出生体重児50例 (男児25例)を対象とする。日齢1に心尖部四腔断面で拡張期右室長軸長 (L)とTAPSEを計測し、TAPSEをLで除して右室長軸長補正三尖弁輪移動距離(cTAPSE:長軸方向の短縮率に相当)を求めた。生直後の状態は1分と5分のApgar Scoreを用い、両者の関連性を検討した。【結果】在胎週数 26.8 ± 2.0 週、出生体重 883 ± 263 g、TAPSEは 5.1 ± 1.1 mm、Lは 16.1 ± 2.6 mmでcTAPSEは0.31 ± 0.04であった。TAPSEおよびcTAPSEとApgar Score1分値は、それぞれTAPSE (r=0.13, p=0.65)、cTAPSE (r=0.1, p=0.51)ともに有意な相関を認めなかった。しかし、Apgar Score5分値はTAPSE (r=0.36, p=0.02)、cTAPSE (r=0.35, p=0.02)の両者と有意な正の相関を認めた。【考察】極低出生体重児の日齢1の右室長軸機能はApgar Score1分値とは有意な関連を認めなかったが、5分値が低くなるほど右室長軸機能が悪化する傾向を示した。本結果は、良い状態での出生と、出生後の適切で効果的な蘇生の重要性を示唆する。今後症例数を増加させた詳細な検討によって極低出生体重児の合併症と右室機能との関連性を明らかにしたい。