[II-OR24-01] 修正大血管転位における肺動脈絞扼術の成績とDouble Switch Operationの要否
キーワード:修正大血管転位症, 肺動脈絞扼術, 三尖弁逆流
【背景】修正大血管転位症 (ccTGA) に対するdouble switch operation (DSO) の成績は良好とは言えない。当院では、三尖弁逆流 (TR)を伴うccTGAに対して、TRの改善を図るため肺動脈絞扼術 (PAB) を積極的に施行している。
【目的】ccTGAへのPABの有効性を検討し、適切なPAB周囲径 (PAB-C) を立案すること。
【方法】ccTGA (VSD 非合併) 5症例を対象とし、TRの程度、推定左室圧、右室容積、右室機能の指標をPAB前後で比較した。
【結果】PAB施行年齢は7.0歳、PAB後観察期間は3.0年。1例は短期的2段階でのPAB施行で、1例は術後4年でDSO (Senning+Jatene) が施行され良好な結果であった。手術時体重 (BW) とPAB-Cの関係は、PAB-C (mm) =0.39×BW+22.5であった。術前後のエコーでのTR評価は、術前後共にmoderate 5例、mild 1例と変化なかったが、三尖弁輪径%N (TVD%N) は121.5から102.8に、CTRも57.0から49.6に低下し、MPA流速が高いほど低下の度合いは強く、右室容量負荷の軽減に有用と考えられた。PAB流速の平均値は3.8 m/secであり、4.0m/secを目標とした場合、PAB-C (mm) =1.7×18.9×BSA0.5が適当と考えられた (18.9×BSA0.5は平均肺動脈弁輪径)。
【考察】手術時年齢・心不全の程度により、適切なPAB-Cは異なるが、予防的なPAB症例または成人症例では、成人期の予想BSAから、心不全症例では次回介入を見据えて、数年後の予想BSAから上記の式によりPAB-Cを算出するのが適当と考える。
【結論】PABはTRを軽減し、右室機能の改善効果がある。年齢や心不全の程度によるPAB-Cの算出を要する。PAB術後の右室機能と左室機能を比較した上で、DSOの要否を検討するのが適当と考える。