[II-OR24-02] PA,VSD,MAPCA心内修復術後患者における肺高血圧と肺血管拡張剤使用についての検討
キーワード:PA/VSD/MAPCA, Rastelli operation, pulmonary hypertension
【背景】肺動脈閉鎖・心室中隔欠損・主要体肺側副動脈(PA,VSD,MAPCA)のRastelli術後では、残存する末梢肺動脈狭窄や右室流出路再狭窄による右室圧の上昇が問題となるが、一部の症例では肺高血圧(PH)による右室圧の上昇が認められる。これらの症例についての検討は少なく、また肺血管拡張剤の投与とその効果についてはほとんど報告がない。【目的】PA,VSD,MAPCAのRastelli手術到達例における肺高血圧の関連因子、肺血管拡張剤の投与状況およびその効果を検討する。【対象・方法】当施設でRastelli術まで施行されたPA,VSD,MAPCA症例で術後の心臓カテーテル検査が実施されているものにつき左右の肺動脈圧(PAP)、右室圧、動脈圧、左室拡張末期圧(LVEDP)を調べた。左右のPAPを複数部位で計測した例では最も高い平均圧を採用した。最終カテーテル検査時のPAPが25mmHg以上の症例をPH群、それ以外を非PH群とし、両群で性別、染色体異常の有無、unifocalization (UF)の有無、左室拡張末期圧、肺血管拡張剤使用歴の有無と投与内容およびPAPの経時的変化を比較検討した。また肺血管拡張剤投与歴のある症例を投薬漸増群と漸減群に分けてPAPの経時的変化を比較検討した。【結果】症例は18例でPH群6例、非PH群12例。性別、染色体異常の有無、UFの有無、LVEDP、肺血管拡張剤使用歴は両群で有意差を認めなかった。PAPの経時的変化は右肺動脈(RPA)ではPH群で経時的に上昇がみられた(p=0.03)。左肺動脈(LPA)では両群で差はなかった。また投薬漸増群・漸減群での比較においてはRPAでは両群ともに経時的な圧の上昇がみられ(p=0.02)、LPAでは漸増群では経時的に圧上昇、漸減群では経時的に圧低下がみられた(p<0.01)。【考察とまとめ】今回の検討ではPH群ではRastelli術前から右肺動脈圧が高く、それが経時的に増悪する傾向が見られた。また肺血管拡張剤の経過中の追加がPHの改善に寄与する所見はなかった。