[II-OR25-01] 小児における僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術の遠隔成績
キーワード:僧帽弁閉鎖不全, 僧帽弁形成術, 人工腱索
【背景・目的】小児における僧帽弁形成術(MVP)は成長を期待した上での耐久性が求められる.MVPの遠隔成績を検証する.【方法】対象は2007年から2019年に僧帽弁疾患に対してMVPを施行した24例(MR21,MS3.AVSDに伴うものは除外).月齢中央値8.5ヶ月(0.5-195),体重8.4kg(2.7-48).MRは乳児特発性僧帽弁腱索断裂7例を含み,MSは全例congenital MS.合併心奇形はVSD4例,ASD3例,ALCAPA1例、その他2例.MR症例のCarpentier分類はtype I:4例,type II:16例, typeIIIb:1例.観察期間7.3年(0.1-11.9).【結果】MSの1例は乳頭筋切開,patch augmentationを行うも狭搾,逆流が制御できず,機械弁での弁置換を施行.その他は全例MVPが可能であった(96%).術式は人工腱索15例,弁輪縫縮21例(Kay-Reed19,ring2),edge to edge13例, folding3例,乳頭筋切開2例, patch augmentation2例,交連切開2例.手術死亡0.MVP後の再手術は1例.術後1.1年でMSの進行によりpatch augmentationでMVPを行いその後は有意なMS,MRなく経過観察中.遠隔死亡2例.1例はMVR症例で術後は他院でfollow.術後4年でMS進行に対してreMVR施行,術後9.7年でIEを契機に脳梗塞のため死亡.もう1例は術後3.8年で血液疾患のため死亡(非心臓関連死).MVP後の再手術回避率は10年95%.僧帽弁機能に関してMR grade は,術前3.5±0.6度,退院時2.0±0.9度,遠隔期1.3±0.7度で退院時点で有意に改善し,遠隔期にかけて逆流が改善する傾向を認めた.弁輪径は術前z-score2.3±1.8,退院時-0.3±1.5,遠隔期0.3±1.3で弁輪縫縮に伴い術前後で有意な縮小を認めるも,遠隔期には成長に伴った弁輪の拡大を認め,僧帽弁流入速度(m/s)も退院時1.2±0.3m/s,遠隔期1.4±0.4m/sと有意な進行を認めなかった.【結論】個々の症例に対する人工腱索,弁輪縫縮,edge to edge, patch augmentation を適切に組み合わせたMVPの遠隔成績は良好であり,成長を考慮に入れなければならない小児においても有用な術式であると考えられた.