[II-OR25-04] 右室流出路再建術におけるContegraとYamagishi conduitの遠隔成績比較
キーワード:肺動脈弁, 右室流出路, 術後成績
【背景】右室流出路再建術(RVOTR)においてContegra とYamagishi conduitは広く使用されるようになったが,術後成績でいずれが優れているかは明らかになっていない.【目的】ContegraとYamagishi conduit を用いたRVOTR施行後の予後比較を行う.【方法】2013年1月1日から2018年12月31日の間に当院でContegraまたはYamagishi conduitを用いて初回RVOTRを施行した小児症例を後方視的に検討した.【結果】Contegra群は27人(手術時年齢中央値1.8歳,体重中央値9.0kg,観察期間中央値3.4年),Yamagishi群は26人(手術時年齢中央値2.2歳,体重中央値10.6kg,観察期間中央値2.1年)で比較を行った.心エコーにてconduit内の最大圧較差はContegra群で10.6±7.7 mmHg,Yamagishi群で18.1±16.2 mmHg(P=0.035)であり,いずれも低値だがContegra群で狭窄がより軽度であった.末梢肺動脈狭窄(3.0m/s以上)はContegra群で40.7%,Yamagishi群で50.0%(P=0.59),中等度以上の肺動脈弁逆流はContegra群で18.5%,Yamagishi群で11.5%(P=0.70)であり,いずれも有意差を認めなかった.Conduit近位部の瘤状拡張(最大径が弁輪径の1.5倍以上と定義)はContegra群で22.2%,Yamagishi群では0%(P=0.02)とContegra群で有意に多かった.Contegraが瘤状拡張した患者は全例で末梢肺動脈狭窄を認めた.カテーテル肺動脈形成術を要した症例はContegra群で22.2%,Yamagishi群で30.8%( P=0.54),re-RVOTRを要した症例はContegra群で11.1%,Yamagishi群で7.7%(log-rank P=0.67)であり有意差を認めなかった.両群とも観察期間内での死亡例はなかった.【結論】ContegraとYamagishi conduitは,conduit内狭窄や弁逆流,予後に関してほぼ同等に良好な成績であった.Contegraは末梢肺動脈狭窄を認める場合にconduit近位部の瘤状拡張を合併する可能性があり,症例選択に注意が必要である.