[II-OR26-02] 大動脈弁再建術における再生型弁膜材料としてのバイオシートの可能性
Keywords:心臓弁, 再生医療, 弁形成材料
【目的】グルタルアルデヒドで処理した自己心膜を用いた大動脈弁再建術(尾崎法)は満足いく臨床結果が報告されている。しかし、若年患者においては成長性や耐久性が懸念される。生体内組織形成術(iBTA)とは、特別な鋳型の皮下埋込みによって所望の形状を有するコラーゲン主体の移植用組織体を鋳型の内部に製造することができる、細胞培養不要の組織工学技術である。バイオシートとはiBTAを用いて得られる膜形状組織体の総称であり、これまで自己再生できる血管修復材としての有用性を示してきた。本研究では大動脈弁再建術用の心膜に代わる新しい材料としてバイオシートを提案し、機械的強度を調べることで可能性を議論した。
【方法と結果】シリコーン心棒にスリット孔を有するステンレス管を組み合わせて鋳型を作製した。これを2ヶ月間ヤギの皮下に埋め込み摘出した。鋳型の内部に形成された管状結合組織を乾燥させ、長手方向に切断して大きさ5 x 7cmのコラーゲン主体のバイオシートを得た(成功率96.1%、n=129)。その中で厚さが均一なシートの割合は72.3%であった。厚さが0.2mm以上であれば、ヒト大動脈弁尖以上で、グルタール処理したヒト心膜に相当する強度を示し、カッティング荷重はエドワーズ牛心嚢膜の基準(1.46N)を超えた。一方、移植操作性を考慮して、シート厚さの上限は0.35mmと設定した。バイオシートの乾燥時の重量と厚さには相関関係があるため、0.4~0.6gの範囲内であれば、弁膜材料として相応しい厚さ0.2~0.35mが得られることが分かった。現在、バイオシートを用いて尾崎法をヤギで実施しており、移植後の再生能を含めて可能性を確かめている。
【結語】iBTAを用いた管状組織であるバイオチューブでは、移植後に再生して成長することを実証している。バイオシートは十分な機械的強度を有し、また成長性が見込めるため、小児用の大動脈弁再建術用の材料として有望であると期待できる。
【方法と結果】シリコーン心棒にスリット孔を有するステンレス管を組み合わせて鋳型を作製した。これを2ヶ月間ヤギの皮下に埋め込み摘出した。鋳型の内部に形成された管状結合組織を乾燥させ、長手方向に切断して大きさ5 x 7cmのコラーゲン主体のバイオシートを得た(成功率96.1%、n=129)。その中で厚さが均一なシートの割合は72.3%であった。厚さが0.2mm以上であれば、ヒト大動脈弁尖以上で、グルタール処理したヒト心膜に相当する強度を示し、カッティング荷重はエドワーズ牛心嚢膜の基準(1.46N)を超えた。一方、移植操作性を考慮して、シート厚さの上限は0.35mmと設定した。バイオシートの乾燥時の重量と厚さには相関関係があるため、0.4~0.6gの範囲内であれば、弁膜材料として相応しい厚さ0.2~0.35mが得られることが分かった。現在、バイオシートを用いて尾崎法をヤギで実施しており、移植後の再生能を含めて可能性を確かめている。
【結語】iBTAを用いた管状組織であるバイオチューブでは、移植後に再生して成長することを実証している。バイオシートは十分な機械的強度を有し、また成長性が見込めるため、小児用の大動脈弁再建術用の材料として有望であると期待できる。