[II-OR26-04] 重症心不全に対する再生環境細胞シート移植による治療法の確立
Keywords:重症心不全, 再生医療, 再生環境細胞群
【背景】高い致死率とドナー不足から、小児重症心不全においても細胞移植による再生医療が注目されている。しかしながら、組織への生着率と血管網構築が共に不十分なため臨床応用が困難であり、その問題解決が求められている。これまでに我々は、末梢血液中の単核球を無血清培地生体外増幅培養法(quantity and quality control culture)で培養することで血管内皮前駆細胞を含む細胞群(QQ細胞群)が得られることを示した。再生環境細胞群すなわちQQ細胞は、血管再生以外に抗炎症・抗線維化・免疫寛容作用を持つ細胞群であり、臨床応用への有効性が先行研究で示唆されている。【目的】本検討では、QQ細胞群シートを重症心不全モデルラットに移植し、重症心不全の治療法として有用性を明らかにする。【方法】Lewisラットにブタミオシンを投与し、自己免疫性心筋炎後の重症心不全モデルラットを作製した。実験群は、コントロール群(sham)、Fibroシート群(線維芽細胞)とQQ細胞シート群(QQ細胞と線維芽細胞)の3群間で行い、重症心不全に対する移植効果を検討した。【結果】QQ細胞シートの機能をリアルタイムPCR法で解析した結果、M2マクロファージやVEGFの増加を認め、抗炎症作用、血管新生作用を認めた。左室圧容積関係解析では、sham・Fibroシート群と比較し、QQ細胞シート群において拡張能改善に有意差を認めた(p<0.05)。【考察】QQ細胞シートは抗炎症・抗線維化・免疫寛容作用がPCR解析で示唆され、移植臓器の再生環境改善が期待される。また、自己免疫性心不全モデルラットに抗炎症効果作用をもつQQ細胞シートを移植することで、心臓拡張能の改善する可能性がある。【結論】再生環境細胞シート治療は、重症心不全に対する新しい細胞移植治療への応用が期待される。