[II-OR27-01] 小児肺高血圧症に対する当院におけるselexipag使用例の治療効果について
キーワード:肺高血圧症, 非経口PGI2製剤, Selexipag
【背景】肺高血圧(PH)特異的治療薬の選択肢は近年飛躍的に増え、PHの予後改善に大きく寄与している。Selexipagは経口投与可能なプロドラッグ型IP受容体の選択的作動薬で、成人での有効性は報告されている。しかし本剤の小児適応は無く、使用経験も少ない。【目的】小児および成人への移行期PH症例における、Selexipagの有効性、副作用と投与量について考察する。【対象】当科でSelexipagを投与した11例のうち、増量が可能であったPH患者9例(IPAH6例、HPAH 2例、PoPAH 1例)を対象とした。【方法】Selexipagの投与量、効果、副作用について後方視的に調べた。治療効果判定として心臓超音波検査、心電図検査、血液検査、心臓カテーテル検査などの検査所見と本人の自覚症状の改善を指標とした。【結果】Selexipag開始時年齢は9~21歳、男女比は5:4。当科でのSelexipag開始目的はPHの治療強化と非経口PGI2製剤の代替であった。投与期間は5~24か月、増量速度は1か月に0.2~1.2mg、最終投与量は現段階で0.4~3.2mg/日であった。効果については、4/9例で症状改善を認め、症状が増悪した症例は認めなかった。一方で、副作用については顎痛、頭痛、消化器症状などを6/9例において認めた。【考察】Selexipagは小児PHに対して著効する症例があるが、副作用は他の経口薬に比し明らかに多く重篤である。副作用により増量できない症例が多く、至適投与量の個人差と言えるか不明である。【結論】Selexipagは小児PHの治療強化として有効例はあるが、むしろ非経口製剤からの代替として有効な印象が強い。副作用のため増量が難しい症例では、効果を得ることは難しいように思われる。しかし未だ使用症例が少なく、今後さらなるデータの蓄積が必要である。