第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

肺循環・肺高血圧

一般口演27(II-OR27)
肺循環・肺高血圧 1

Fri. Jun 28, 2019 8:30 AM - 9:20 AM 第7会場 (204)

座長:三谷 義英(三重大学病院 小児科)
座長:中村 常之(つねファミリークリニック)

[II-OR27-02] 小児および若年成人の肺動脈性肺高血圧症におけるSelexipagの有効性と安全性

高月 晋一, 川合 玲子, 矢内 俊, 中山 智考, 松裏 裕行 (東邦大学医療センター大森病院 小児科)

Keywords:Selexipag, Prostacyclin, 肺高血圧症

Selexipagは経口プロプロスタサイクリン受容体選択的作動薬で、成人領域における肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬として承認されているが、小児および若年成人における有効性と安全性については、ほとんど報告はない。<目的>小児および若年成人における特発性・遺伝性PAHの8例に対するselexipagの有効性と安全性を報告する。<方法>PAH患者の8例(年齢;19歳(3-28歳)、体重;48kg (14-74 kg)、男女比;5:3、遺伝性2例)における、selexipag前後の臨床症状や肺血行動態の変化、副作用などを後方視的に解析した。<結果>小児例は2例(3歳、9歳)、残りは19歳以上の若年成人例であった。8例中4例はベラプロストから移行例で、残り4例は他2系統の肺血管拡張経口薬に新たにAdd-onされた。Selexipag投与の理由として、臨床的増悪が5例(うち2例がEpoprostenol持続静注離脱後の再増悪)、さらなる治療効果を期待して投与されたのが3例であった。初期投与量は体重が40kg以上の症例では、成人量の0.2mg/回を2回、20-40kgでは0.1mg/回を2回、20kg以下では0.05mg/回を2回とした。成人例で最大投与量の1.6mg/回に達したのは6例中3例、2例が副作用のため0.6mg/回、1.4mg/回に減量され、残り1例では認容性が低く中断となった。小児例では現在増量途中だが、副作用の発現はなく経過している。経過観察中(中央値9ヶ月、6-12ヶ月)、Selexipag治療前後で右心カテーテルを施行した症例が4例あり、平均肺動脈圧(65 vs 56mmHg)、肺血管抵抗値(17.4 vs 12.3単位)、心係数(2.9 vs 3.7l/min/m2)のいずれも改善傾向を示した。投与後に臨床的増悪を示した症例は1例も認めていない。<結論>小児および若年成人におけるPAHにおいて、selexipagは忍容性が比較的高く、肺血行動態を改善させる可能性が示された。幼児における投与量の設定については、今後のさらなる検討が必要である。