[II-OR28-02] 小児期および若年発症の肺動脈性肺高血圧症患者におけるemPHasis-10によるQOL評価
Keywords:肺動脈性肺高血圧症, Quality of Life, 小児
【目的】肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者に特化したQOLスコアであるemPHasis-10(10項目の各項目が0~5点で50点満点でスコアが高い程QOLが低い)を用いて、小児期および若年発症のPAH患者のQOLに影響する因子を明らかにする。【対象・方法】対象は、当院でemPHasis-10を導入した2017年11月以降2019年1月までに心臓カテーテル検査とemPHasis-10の評価を行った小児期および若年発症のPAH患者17例(特発性/遺伝性 16/1例;男/女 7/10例;年齢 26.9±3.9歳;罹病期間 15.7±5.6年)である。方法は、質問項目、患者背景、治療内容、6MWD、BNP、心臓カテーテル検査による血行動態指標とQOLの関係を検討した。【結果】患者背景は、失神の既往9例(53%)、独居4例(24%)、既婚2例(12%)、就学・就労15例(88%)、Epoprostenol・Treprostinil 7例(41%)、HOT 12例(71%)であった。疾患重症度は評価時のNYHA機能分類1/2/3度夫々2/14/1例、6分間歩行距離(6MWD)は624±91m、BNPは25.8±23.8pg/ml、平均肺動脈(mPA)圧は53.3±18.2mmHg、心係数(CI)は4.5±.9L/min/m2だった。emPHasis-10は17.5±5.3点で、平均スコアより高い7例は低い10例と比較し、息切れにより"落胆"(2.0 vs 3.3, p=0.01)、"発言が中断" (0.9 vs 2.0, p=0.03)、日中に安静が必要と感じる(0.9 vs 1.3, p=0.04)傾向にあった。治療内容、6WMD、mPA圧、CIは両群で差がなかった。【考案・結語】患者のQOLは血行動態よりむしろ自覚症状と関連していた。治療に当たっては血行動態の改善に注目しつつ、自覚症状を経時的かつ定量的に評価することが重要と考えられた。